研究課題/領域番号 |
24560909
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
渡邉 義見 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50231014)
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研究分担者 |
佐藤 尚 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50402649)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 金属間化合物 / L12構造 / 結晶粒微細化剤 / 鋳造 / 不整合度 / ぬれ性 / 異質核 / 凝固 |
研究概要 |
L12型金属間化合物であるAl5CuTi2を異質核とする新規微細化剤を開発する目的で,Al-Al5CuTi2微細化剤の最適な作製方法および作製条件を調査した.アーク溶解および均質化処理により,均質な組織を持つL12型金属間化合物であるAl5CuTi2を作製した.そして,SPSによりAl-20vol%Al5CuTi2微細化剤を作製し,Al鋳造実験を行ったところ,鋳造材の結晶粒微細化が認められた.微細化剤中のAl5CuTi2の体積を変えることで,微細化性能の発現時期を変更できることもわかった.微細化剤作製時の焼結温度である500℃,およびAl鋳造実験における溶湯温度である750℃において,Al中のAl5CuTi2の熱安定性を調査した.その結果,保持時間が長くなるにつれてAlとの反応が進行し,Al5CuTi2がAl3TiやAl2Cuといった化合物へと変化していくことがわかった.Al5CuTi2のAlに対する濡れ性を測定したところ,Al3Tiに比べ,Al5CuTi2の濡れ性が良いことがわかった. Al-Al22Fe3Ti8微細化剤およびAl-Al67Ni8Ti25微細化剤を作製し,これらの微細化剤をAl溶湯に添加したところ,Al鋳造材の組織は微細になることがわかった.(Al, Y)-Ti 3元系L12型金属間化合物はAlに対して有効な微細化剤であると言える.特にAl-Al67Ni8Ti25微細化剤を用いて作製したAl鋳造材は,保持時間なしでも,平均結晶粒径が256μmという微細で均質な組織を有していた.これに対し,Al-Al5CuTi2微細化剤において最も優れた微細化効果が得られた保持300秒のAl鋳造材では,平均結晶粒径が344μmである.すなわち,保持時間を変えてAl鋳造実験を行えば,Al67Ni8Ti25はさらに高い微細化効果を発揮する可能性がある.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
不整合度の事なるAl5CuTi2,Al22Fe3Ti8およびAl67Ni8Ti25を用いて,Al-Al5CuTi2微細化剤,Al-Al22Fe3Ti8微細化剤およびAl-Al67Ni8Ti25を作製し,これらの微細化剤をAl溶湯に添加したところ,全てにおいてAl鋳造材の組織は微細になることがわかった.また,不整合度と微細化能との間の関係を調査したところ,保持時間なし,という限定条件ではあるものの,両者には直線的関係が見出され,申請時の最終目標データに近い情報が得られている.
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度にAl-Al5CuTi2微細化剤で行った実験同様,Al-Al22Fe3Ti8微細化剤およびAl-Al67Ni8Ti25微細化剤において,系統だった実験を進めていく.具体的には,SPSにより,Al-Al22Fe3Ti8微細化剤およびAl-Al67Ni8Ti25微細化剤を作製し,保持時間を変えた鋳造実験を行い,微細化能を調査する.また,熱安定性とAl母相との結晶学的方位関係について調査する.加えて,バルクAl22Fe3Ti8およびAl67Ni8Ti25と溶融Alとのぬれ性を調査し,Al-Al22Fe3Ti8微細化剤およびAl-Al67Ni8Ti25微細化剤の優位性を議論する.
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次年度の研究費の使用計画 |
消耗品・・・380千円 ステンレス鋼などの素材,アルゴンガス,研磨紙,Alインゴットおよび腐食液購入. 旅費・・・452千円 成果発表国内旅費,および成果発表外国旅費(ハワイPRICM8参加)
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