研究課題
鋳造プロセスにおいて発生する組成の不均一な偏析や割れといった鋳造欠陥は、固体と液体が共存した組織(固液共存体)の変形現象と深く関係している。例えば、遠心鋳造法や高圧鋳造法などのプロセスでは、固液共存体の変形が要因とされる、バンド偏析と呼ばれる欠陥が形成される。このような欠陥は、凝固後の熱処理などで除去することが困難であるため、凝固過程での欠陥の制御・低減手法の開発が必須である。ただし、高温下での固液共存体の変形挙動は複雑であるため、欠陥形成の機構は、殆ど理解されていない。そこで本研究では、放射光X線イメージングを利用して、金属合金やモデル材料を対象に固液共存体の変形挙動を粒子スケールでその場観察を行い、変形機構、鋳造欠陥形成機構の解明を行ってきた。期間全体として、主に以下の知見が得られた。1.固液共存体の変形挙動は、初期固相率と変形速度に強く依存していることが明らかとなった。高固相率かつ高変形速度の場合、固相粒子の回転運動が抑制された結果、変形によって形成されるせん断帯の幅が大きく低減した。さらに高い固相率になると、中固相率の場合に観察されたせん断帯ではなく、液相流動の低下によって、割れが形成された。2.水-ポリスチレン粒子混合体を利用したモデル実験において、固液共存体にせん断を付与すると、せん断応力だけでなく、せん断方向に垂直な法線方向にも応力が発生することが明らかとなり、定量的にそれらの応力を評価することに成功した。3.高固相率であっても、変形速度が小さい場合、固相同士がすべりを起こしながら、並進および回転運動によって、再配列が起こり、中固相率の場合と同様に固相率の低いせん断帯が形成されることが分かった。4.Sn合金を対象に中固相率、低変形速度の条件において、固液共存体の変形挙動の際に発生する力の測定を行い、その場観察で得られた組織変化との関係性を明らかにした。
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