平成26年度は本申請研究の最終年度となる。そこで過去2年間の成果を踏まえ、本研究が目的とする、自由落下部2.5mのショートドロップチューブを用いた次世代高効率球状太陽電池SiとⅢ-Ⅴ族化合物半導体単結晶微粒子創製に対する総括を含めて実験と解析を行った。以下に最終年度となる平成26年度の成果概要を記す。 1.次世代高効率球状太陽電池Si創製実験 希土類RE元素NdとGdを添加したSi微粒子の過冷度と結晶成長の関係解明を目指し実験と解析を行った。その結果、RE元素を1~10%添加したSi微粒子は、純Siとは異なり高過冷度状態で無容器凝固する特異な表面構造が観察された。また、RE元素はSiの粒界部にシリサイドを形成し、併せて,微粒子表面にシリサイド相の突起部が複数形成される特異な凝固組織が認められた。また、シリサイド新規磁性半導体微粒子創製を目的に、FeとNdを添加したSi融液のドロップチューブ実験を行った結果、純Siに比べて過冷度は顕著に増大し、粒界と表面部にFeSi2及びNdFe1.8化合物相が晶出し、シリサイド半導体生成に対する本プロセスの有効性が明確化された。 2.Ⅲ-Ⅴ族化合物半導体単結晶微粒子創製実験 過去2年間の成果として、ドロップチューブプロセスを用いたIn50Sb50及びGa50Sb502元単結晶微粒子生成に成功を修め、併せて,単結晶微粒子生成に対する3d遷移金属元素添加の有効性を示している。そこで最終年度においては、InSbにFeを微量添加した3元微粒子生成実験を行った結果、初晶FaSb相の微小デンドライトは異質核生成サイトにならず、母相となるInSb化合物相が単結晶構造を示す内外共に報告のない意義ある成果の提示に成功を修めた。また、バンドギャップ制御を可能とする新規混晶半導体微粒子創製に対する本プロセスの有効性を検討した結果、(In,Ga)Sb3元混晶半導体微粒子生成に成功を修め、混晶相の組成比と格子定数を連続的に変化可能とする意義ある成果を示した。
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