炭素鋼表面での緑膿菌のバイオフィルム(BF)形成と微生物腐食(MIC)の機構を研究した。BFが形成されやすい炭素鋼表面をリン酸亜鉛処理し鉄イオンの溶出を阻害すると、その表面にBFが形成されなかった。また培養液に硫酸鉄を加えてもこの炭素鋼表面にBFは形成されなかった。これらは炭素鋼表面から溶出した鉄イオンが緑膿菌のBF形成に必要であることを示している。緑膿菌培養液に30日間浸漬した炭素鋼を放射光でコンピュータ断層撮影し画像を3Dに再構成したところ、最表面にBF様構造物の形成、その直下の炭素鋼にMICが認められた。MICはBFの凹凸構造によって形成された酸素濃淡電池が原因である可能性が考えられた。
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