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2012 年度 実施状況報告書

微小液滴の多孔体への浸潤過程の直接数値計算

研究課題

研究課題/領域番号 24560929
研究種目

基盤研究(C)

研究機関九州大学

研究代表者

松隈 洋介  九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70282241)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード液滴 / 多孔体 / 濡れ性
研究概要

マイクロスケールの多孔質媒体表面および内部における気液二相流は、燃料電池のガス拡散層内での凝縮水の移動、インクジェット印刷での印刷紙への液滴の着弾、浸潤や塗布など様々な工業用途で見られ、その詳細なメカニズムの解明が望まれている。このようなマイクロ流路を有する多孔質媒体では、重力や電磁気力等の外力が無くても、界面張力や濡れ性によって液相を駆動できるため、マイクロスケールの複雑流路内の流れに対して、固体壁の濡れ性の影響を調べることは重要である。しかし、これらの現象は、時間と空間のスケールが微小な現象であり、かつ多孔質媒体の内部形状も複雑なため、実験による観察・測定に困難を伴い数値計算による解析が期待されている。
そこで、本研究では、平滑ではない多孔体上に置かれた液滴が、表面に与えられた親水性の濡れ性により内部へと浸潤する現象に注目し、液滴浸潤速度に与える液体の物性および多孔体構造の影響を明らかにすることを目的とする。平成24年度には、解析を行うためのモデル構築とコード作成を行った。具体的には、気液二相流を扱う格子ボルツマン法をベースとし、多孔体表面の濡れ性を与える新たなモデルを開発した計算を行った。その結果、球形粒子充填層上に置かれた液滴が、充填層へと浸潤する過程を計算することが可能となった。現状では、計算の数値不安定性から液滴と周囲ガスの密度比は10程度であるが、今後密度比を100以上の計算が可能となるモデルを開発する予定である。また、この解析結果の妥当性を確認するため、直径が100μm程度の球形のガラスビーズよりなる充填層を作製し、その上に滴下した粘度の異なるシリコンオイルが浸潤する様子をハイスピードマイクロスコープにより撮影した。横面より撮影した液滴の高さから浸潤速度を求め、粘度が浸潤速度に及ぼす影響が分かった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成24年度の当初目標は、液滴浸潤の数値計算モデルを作製し、実験と比較することにあり、数値計算モデルの作製と実験は当初の計画通りに実施出来た。しかし、液滴浸潤の速度は、実験と解析結果の間にまだ解離があり、計算モデルの妥当性を十分に示せたとは言いがたい。平成25年度は、実験と解析結果の比較を十分に行い、解析モデルの妥当性を検討して行きたい。

今後の研究の推進方策

平成25年度は、平成24年度に行った解析と実験の比較から、液滴の浸潤速度、浸潤深さと広がりに影響を及ぼす物性値を同定し、無次元数によって整理する。また、平成24年に開発したコードを改良し、並列計算を用いた高速計算を試みる。さらに、球形粒子充填層以外の形状として、不織布や発泡体構造での計算を行い、球形粒子充填層と比較する。この比較から、多孔質媒体の空隙率、細孔径分布、屈曲度、細孔同士の連結構造など充填構造を特徴づけるパラメータが浸潤現象に与える影響を検討する。これらの検討より、例えば浸潤速度を増加させるためには、多孔質媒体の空隙率とその分布をどのように制御すれば良いかという指針が得られると期待される。

次年度の研究費の使用計画

並列計算用のワークステーション1台(60万円程度)と実験装置改良用のアクリル部材10万円程度の物品費、および成果発表旅費45万円程度を予定している。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 多孔体への液滴浸潤過程の数値計算2012

    • 著者名/発表者名
      松隈洋介 (九大 大学院)、糸賀亮介 (九大 工)、峯元雅樹 (九大 大学院)
    • 学会等名
      化学工学会秋季大会
    • 発表場所
      東北大学 川内北キャンパス
    • 年月日
      20120919-20120921

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公開日: 2014-07-24  

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