研究概要 |
多孔体の内部への液体の浸潤現象は、インクジェット印刷や塗装処理など様々な工業用途で見られ、そのメカニズムの解明が幅広い分野への技術応用へつながると期待されている。本研究では、直径約1mmの液滴が、焼結したガラスビーズ多孔体の中へ浸潤する現象を、実験と格子ボルツマン法による解析より調べた。平成25年度には、粘度と充填層の粒子径を変えた実験を行い、液滴の高さを基に測定した浸潤速度は粘度に反比例し、ガラスビーズの径に比例することが分かった。また数値解析では、離散要素法により直径d=10Δx(Δxは計算孔子の間隔)の球形粒子をx, y, z方向がそれぞれ128×128×128Δxの直方体の容器に半分まで充填する計算を行い、空隙率ε =0. 4の充填層を作製した。次にこの充填層の表面に直径D=6dの半球状の液滴を置き、球形粒子の表面に与えた親水性の濡れ性により、液滴が充填層内へと浸潤する過程に格子ボルツマン法を用いて計算した。この結果、液滴高さの時間変化は格子ボルツマン法の解析と定性的に一致することが分かった。
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