研究課題/領域番号 |
24560943
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
武藤 明徳 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00174243)
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研究分担者 |
徳本 勇人 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70405348)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | エマルション / 解乳化 / マイクロ流路 / 電場 |
研究概要 |
本研究は微小距離間では小さな印加電圧でも大きな電場効果が期待できることからエマルジョンの解乳化速度が向上することを予想し、微小流路を用いたマイクロリアクターによる解乳化の研究を行った。銅板電極で挟まれた3 mmの微小空間にチューブを通し、電場を負荷した状態でエマルジョン液を流すことにより、解乳化を促進させ連続的に回収することを可能にした。エマルジョン液は水-トルエン系を用い、界面活性剤span80を体積分率2 vol%添加することにより調製を行った。電界強度および周波数を変えながら液を回収した後、湯せんを1 時間行った後に回収液の解乳化率を測定した。湯せんの効果としては、回収液のエマルジョン相とトルエン相の界面を明確にし、容易な解乳化率の測定を可能とした。直流電場では0 ~10000 V/cmの範囲で解乳化率は向上しなかった。交流電場で電界強度を10000 V/cm 、5000 V/cmの2 条件に設定し周波数を0 ~100 Hzの範囲で変えながら実験を行った結果、解乳化率は向上した。また、トルエン分率32 ~66 %の範囲で調製したエマルジョン液で実験を行った結果、周波数を100 Hzに設定した場合では、電場30000 ~50000 V/cmの条件で解乳化効果が高くなることがわかった。また、チューブに流すエマルジョン液の流量を減少しリアクター内の滞留時間を長くしても解乳化率は上昇した。以上をふまえて実験を行った結果、電界強度、周波数、流量を変更させることによってトルエン分率32 ~66 %のエマルジョン液で90 %を超える解乳化率を得ることができた。処理量は1 時間あたり20 ~60 mlである。処理量は、リアクター内の流路を長くし滞留時間を増加できるので、流量を変えずに滞留時間を増加させることが可能となり、エマルジョン液の処理量がさらに向上することが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
エマルジョンの分離に適するリアクターの開発を行ない、このリアクターが有効に機能するエマルションの組成(油水比)を明らかにした。 当初、想定していなかった加温することによるエマルションの解乳化促進も見出した。
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今後の研究の推進方策 |
初年度において得た成果、ならびに実験を遂行するなかで検討内容を、当初計画と合わせて て、今後の研究は次のように進めたい。 (1)解乳化装置を改良して、大量処理も可能にすることも試みたい。 (2)解乳化装置の応用先として機械切削油にも試用し、新規な課題を抽出するとともにその解決にもあたりたい。 (3)エマルジョンの破壊機構を解明したい。
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次年度の研究費の使用計画 |
消耗品費として、主にガラス器具、特注マイクロリアクター部品、試薬に約50万円を予定している。
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