研究課題/領域番号 |
24560944
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
宮尾 敏広 山梨大学, 総合研究部, 教授 (90312090)
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研究分担者 |
東山 和寿 山梨大学, 総合研究部, 教授 (10530090)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 選択性の制御 / 熱暴走の抑制 / 一酸化炭素のメタン化 / 二酸化炭素のメタン化 / 一酸化炭素選択メタン化 / メソポーラスシリカ被覆 / 燃料改質器 / 家庭用燃料電池 |
研究実績の概要 |
本研究は、工業的に重要な固体触媒上で進行する水素化反応や酸化反応など、大きな発熱を伴う化学反応に対して、反応の熱暴走を自動的に制御する機能を触媒自身に付与することを目的としたものである。本研究では特に、家庭用固体高分子形燃料電池向け燃料改質器のための低コストなCO除去プロセスとして近年注目を集めているCO選択メタン化反応に着目し、この反応系で選択性を制御し熱暴走を抑制できる触媒の開発を行った。 本反応に着目した動機としては、CO除去反応で対象とする反応物(CO)の濃度が0.5%前後と低いのに対して、副反応を引き起こす元となるCO2の濃度が20%と高く、熱暴走反応の制御の難易度が高いことから、本系で熱暴走の抑制を実現することは関連分野への波及効果が大きいと考えたためである。 実施した項目は大きく分けて三つある。第一に、触媒処理装置の作成であり、正確な測定の為に精密な温度制御のできる恒温槽を備えた流通式反応装置の作成を行った。第二に、熱暴走を制御し得る被覆層の探索を行い、活性金属のNiと相互作用の強いチタニア、ジルコニア、ランタニアの他、安定な被覆層を形成可能なアルミナ、シリカによる被覆と、熱暴走反応の抑制の関係を詳細に検討した。その結果、ナノポーラスな構造を有するシリカで触媒表面を被覆した場合に、顕著な熱暴走制御効果が表れることを見出した。また、この被覆層は層内に設けたナノチャンネルを通してガス拡散が容易に行われるために、暴走反応を起こす前の定常状態においても反応を阻害しないことを明らかとした。そして第三に、選択性制御のための添加物の探索であり、被覆層の他にも選択性を化学的・幾何学的に制御し得る添加物を種々探索し、ハロゲン化合物とバナジウムが特に優れた効果を示すことを見出した。以上の結果、当初目的とした熱暴走機能の触媒自身への付与に対して十分な成果を上げることに成功した。
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