研究課題/領域番号 |
24560947
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
押木 俊之 岡山大学, 自然科学研究科, 講師 (80311794)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ルテニウム錯体 / 錯体触媒 / 酸触媒 / 固体酸触媒 / ニトリル / 水和反応 / 加水分解 / アクリルアミド |
研究概要 |
アクリロニトリルからアクリルアミドを高選択的に製造する新規な固体酸触媒の開発を進めた。アクリルアミドは世界年産約60万トンの重要化学品であり、凝集剤(汚水処理用)や紙力増強剤(古紙の再生)など環境分野での需要に加え、原油回収増進剤(EOR:Enhanced Oil Recovery)用としてのエネルギー分野での需要が急拡大している。現行工業生産プロセスの生体触媒法に対して、原理的優位性をもつ(廃水がでない)錯体触媒法をベースとする、本研究が目的とする新規な固体酸触媒(固定化錯体触媒)の創製は、学術面のみならず、社会的にも重要な課題といえる。 公知文献に従い、性状の異なるメソポーラス有機シリカを合成した。ルテニウム錯体担持の観点より、芳香環を有するメソポーラス有機シリカを合成した。担持するルテニウム錯体を大量合成する手法を確立した。 合成したルテニウム錯体群の錯体触媒としての性能評価を実施し、液相中で高選択的にアクリルアミドを合成できることを確認した。その成果は、国内外の学術研究集会で発表するとともに、成果の社会還元を図るため、産業界へ向けてのアピール(展示会等への出展)も実施し、一定の成果を得た。 研究を進めていく過程で、触媒の高活性化の鍵を握る要因は、金属中心の電子的影響の制御よりも、むしろ配位子側の構造の寄与が大きいことが浮かび上がってきた。これは参加した国際学会等における議論においても明確になった。そこで、2元機能型触媒として適する構造を有する独自の新しい配位子を設計し、その合成にも成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
固体酸触媒の原料となる、(1)ルテニウム錯体の大量合成、(2)メソポーラス有機シリカ群の合成が難航した。(1)については、公知文献の再現性の問題に直面したが、合成時の容器形状を工夫することにより解決した。(2)については、研究代表者のこれまでの専門とは一線を画す領域だったこともあるが、有識者の助言を仰ぐことにより課題は解決した。以上、新規な固体酸触媒の開発にあたっての当面の課題は解決されたので、今後の研究では遅れを取り戻すことが十分に可能である。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画しなかった、骨格を独自に工夫した新規配位子を24年度に合成することができたので、これを成分とする触媒の機能について研究を進める。他は、当初計画に従い、着実に研究を進める予定である(成果発表込み)。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初計画に沿い、計画的な研究費執行に努める。24年度の執行率は99.99%。本研究と関連する内容で、公益財団法人からの助成金を得ることもできた。
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