• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2013 年度 実施状況報告書

メソポーラスな有機シリカを担体とする新規な固体酸触媒(固定化錯体触媒)の開発

研究課題

研究課題/領域番号 24560947
研究機関岡山大学

研究代表者

押木 俊之  岡山大学, 自然科学研究科, 講師 (80311794)

キーワードルテニウム錯体 / 錯体触媒 / 酸触媒 / 固体酸触媒 / ニトリル / 水和反応 / 加水分解 / アクリルアミド
研究概要

当初研究計画に従い,アクリロニトリルからアクリルアミドを高選択的に製造する新規な固体酸触媒の開発を進めた。アクリルアミドは世界年産約60万トンの重要化学品であり,凝集剤(汚水処理用)や紙力増強剤(古紙の再生)など環境分野での需要に加え,エネルギー分野での需要が急拡大している。現行工業生産プロセスの生体触媒法に対して,原理的優位性をもつ(廃水がでない)錯体触媒法をベースとする,本研究が目的とする新規な固体酸触媒(固定化錯体触媒)の創製は,学術面のみならず,社会的にも重要な課題である。そのため,現在でも本課題に関する産業界の期待は高い。
芳香環を有するメソポーラス有機シリカを,公知文献に従い合成していたが,再現性がとれず,さまざまな条件を変えた繰り返し実験でも均質なメソポーラス有機シリカが得ることができなかった。
メソポーラス有機シリカの第一人者である稲垣博士が鳥取大学で講演する機会があり,当該予算での旅費を執行し,稲垣博士と直接相談してみることにした。率直な疑問を述べたところ,稲垣博士はたいへん丁寧に応じてくださり,エマルション系で合成されるメソポーラス有機シリカには,その合成法にさまざまな工夫があり,必ずしも再現性が確実に取れるわけではないことがわかった。いくつかの注意点があり,また有力な研究者も紹介いただき,たいへん有意義な議論ができた。メソポーラス有機シリカの合成と並行して進めた,錯体触媒に関わる研究成果は,成果の社会還元も図るべく,科学技術振興機構の新技術説明会で発表し岡山大学として史上最高の聴講者を集めることができた。
最終年度で実施予定のベックマン転位を起こす酸触媒の開発に向け,予備的な検討を進めた。その結果,まだ詳細な要因の分析は必要だが,転位反応を起こす新たな触媒系の発見に至った。よって,最終年度へのさらなる応用展開に向けた予備検討は順調に進んだといえる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

すでに述べたとおり,固体酸触媒の担体となる,メソポーラス有機シリカの再現性ある合成が難航した。また,まったく異なる研究課題である民間企業との共同研究課題で大きなトラブルが発生したため,当初計画どおりのエフォートを,本研究計画に割くことができなかった。メソポーラス有機シリカに関しては,極めて有効な助言が得られたことに加え,新たな独自の合成方法を考案するに至ったので(当初予定には記載のない事項),その検証実験も含めて最終年度に取り組む。民間企業との共同研究課題のトラブルも年度内には解決した。すなわち,直面する課題は解決されたので、今後の研究では遅れを取り戻すことが十分に可能である。

今後の研究の推進方策

研究の過程で生まれた新たなアイデア(メソポーラス有機シリカの合成法)についても,検討項目に加えて研究を進める。このアイデアは非常に波及効果が大きいと考えられるので,相当の力を注ぐこととする。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2014 その他

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 産業界と連携した革新性ある錯体触媒プロセスの開発2014

    • 著者名/発表者名
      押木俊之
    • 雑誌名

      ケミカルエンジニヤリング

      巻: 65 ページ: 93-100

  • [学会発表] 耐熱・高絶縁性C5樹脂を製造するルテニウム触媒のキログラム規模合成

    • 著者名/発表者名
      押木俊之
    • 学会等名
      岡山大学新技術説明会
    • 発表場所
      JST東京本部別館ホール
  • [備考] 新たな化学触媒プロセスの開発

    • URL

      http://www.cc.okayama-u.ac.jp/~oshiki/

URL: 

公開日: 2015-05-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi