研究概要 |
本申請課題では,均質なペロブスカイト型酸化物触媒を得るために, シアノ錯体の熱分解による調製法を用いている. Bサイト複核のペロブスカイト型酸化物LnFe(x)Co(1-x)O(3) (Ln : ランタノイド)を本法により調製し, これら触媒のCO酸化活性について検討した. さらに, Bサイトの部分置換効果やAサイト金属種が活性に与える影響について検討した. シアノ錯体Ln[Fe(x)Co(1-x)(CN)(6)]・nH(2)O (Ln = La, Pr , Sm, Gd, Dy, Ho, Er; x = 0~1)を合成し,各焼成体のXRD測定したところ,YbFe(0.5)Co(0.5)O(3)以外の試料ではペロブスカイト型酸化物に帰属されるピークのみが観察された. また,ペロブスカイト型酸化物由来のピークはFe添加量(x)とともに低角度側にシフトすること, 格子定数は(x)とともに直線的に増加し, Bサイトが精密に部分置換できていることが明らかになった.単一相が得られたLnFe(x)Co(1-x)O(3)のCO酸化活性において,Aサイトに関わらず, x = 0.5で最大活性を示し, FeとCoの共存による相乗効果が認められた. 一方, Aサイト金属種によるCO酸化活性への影響は小さく, Aサイト金属種よりもBサイト金属種の方がCO酸化活性に影響を与えることがわかった. 原料錯体をシアノ錯体からオキサラト錯体K(3)[M(ox)(3)] (M = Fe, Co)へ変えたところ,水溶媒では目的の配位高分子前駆体は得られなかったが,メタノール溶媒で目的の前駆体Sm[M(ox)(3)]を調製することができた.Sm[Fe(ox)(3)]を前駆体として,焼成温度を上げていくと600 ℃以上で目的のペロブスカイト型酸化物が生成し,その金属酸化物の表面積は小さくなることがわかった.
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