研究課題/領域番号 |
24560949
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
恩田 歩武 高知大学, 教育研究部総合科学系, 講師 (80335918)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 固体酸触媒 / 水中 / スルホ基 / 炭素 / 加水分解 |
研究概要 |
スルホン化活性炭触媒は、従来のイオン交換樹脂触媒と比べて、水中での多糖類の加水分解反応において高い触媒活性を示す。その原因を解明することは、さらに高機能な触媒開発に有益な知見になる。そこで初年度である平成24年度は、異なる親-疎水性を有する様々な樹脂、部分炭化樹脂、炭素系材料などに、いくつかのスルホン化方法でスルホ基を付けた触媒材料の合成を試みた。そして、スルホ基、その他の酸性官能基、吸着特性の評価を行い、それら物性と主に2糖類およびデンプンの加水分解に対する触媒活性の比較検討を行った。 具体的には、申請書の研究計画に従って、様々なスルホ基密度を有する固体酸触媒の調製、それら固体酸触媒のスルホ基およびその他の酸性官能基の定量、粒子観察、各固体酸を触媒に用い、重合度などの異なる水熱可溶性の多糖(オリゴ糖など)に対する加水分解活性比較を行った。特に、様々なスルホ基密度を有する固体酸触媒の調製のために、スルホ基をつける担体材料の調製およびスルホン化方法について検討し、各種の樹脂、それを部分炭化した材料を既に実績のある活性炭と比較した。その結果、既に実績のあるスルホン化活性炭よりも高活性な触媒を見出した。また、オリゴ糖の重合度と加水分解活性の関係は担体材料によって異なることを見出した。さらに、従来のスルホ基含有イオン交換樹脂触媒の場合は水熱中にスルホ基が溶出して問題となるが、スルホ基溶出度も担体材料に依存することを見出し、スルホ基の溶出を抑制し、高活性な触媒を得るための指針を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
様々な官能基および炭化度の固体酸触媒の合成は順調に進展しており、その物性評価、触媒特性評価ともに順調に進展している。 具体的には、申請書の研究計画に従って、様々なスルホ基密度を有する固体酸触媒の調製、それら固体酸触媒のスルホ基およびその他の酸性官能基の定量、粒子観察、各固体酸を触媒に用い、重合度などの異なる水熱可溶性の多糖(オリゴ糖など)に対する加水分解活性比較を行った。特に、様々なスルホ基密度を有する固体酸触媒の調製のために、スルホ基をつける担体材料の調製およびスルホン化方法について検討し、各種の樹脂、それを部分炭化した材料を既に実績のある活性炭と比較した。その結果、既に実績のあるスルホン化活性炭よりも高活性な触媒を見出した。また、オリゴ糖の重合度と加水分解活性の関係は担体材料によって異なることを見出した。さらに、従来のスルホ基含有イオン交換樹脂触媒の場合は水熱中にスルホ基が溶出して問題となるが、スルホ基溶出度も担体材料に依存することを見出し、スルホ基の溶出を抑制し、高活性な触媒を得るための指針を得た。なお、購入予定であったクロマト分析用のオートインジェクターは、クロマト分析装置本体の不調により、クロマト本体を修理し、マニュアルインジェクターでの分析に変更になった。その分は、実験時間を増やすことで対応し、研究推進への影響は出ていない。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は当初の研究計画に沿って順調に進展した。そのため、平成25年度も引き続き、当初の交付申請書の研究実施計画に従って研究を推進する。すなわち、様々な量のスルホ基、フェノール性水酸基、カルボキシル基を有する様々な炭化度の炭素系材料を合成する。また、スルホ基あたりの触媒活性を実験的に求める。それらに加えて、平成24年度の研究結果から、触媒のスルホ基などの酸性官能基などの物性と基質の吸着の関係についても詳細に評価することの重要性が示唆され、キャラクタリゼーションを重点的に行う。そして明らかにした物性と触媒活性の関連性を、官能基や炭化度などの様々な要素において系統的に解析し、優れた触媒活性の発現機構を考察する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は研究室学生数が減少した。そこで、当初計画に加えて、新たに研究支援員を雇用する。また、平成24年度の結果より、キャラクタリゼーションの重要性が改めて示され、FTIR関連部品の購入を行う。
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