研究課題
バイオマス資源の有効活用において、固体酸触媒を用いたバイオマス由来化合物の変換は重要である。特に、水中で安定的に働く固体酸触媒が期待されている。スルホンカ活性炭は、アンバーリスト15などの市販イオン交換樹脂触媒と比べてスルホ基含有量は少ないが、水中での多糖の加水分解に対して高い活性を示す。その原因として、有効酸サイトの数のほかに、スルホ基の酸強度、スルホ基以外の酸性官能基、炭素材料の有機化合物との親和性、炭素材料の膨潤性などが考えられているが、未解明である。その原因を明らかすることにより,さらなる高活性触媒の開発につながると考えられる。本年度は、様々な物性および置換基濃度を有するスルホン酸含有炭素系触媒を調製し、触媒特性との関連性を調べた。また、様々なスルホン酸含有化合物の酸強度および触媒活性を調べた。その結果、これまでよりも多糖加水分解に対して高い触媒活性を有する炭素系固体酸触媒を見出した。
2: おおむね順調に進展している
様々な置換基及び炭化度の固体酸触媒の同様な合成は順調に進展しており、その物性評価、触媒特性評価ともに順調に進展している。具体的には、申請者の研究計画に従って、水中で有効に働く炭素系固体酸触媒の作用機構解明として、スルホ基の密集度と触媒活性、カルボキシル基、ラクトン基、水酸基の役割を検討するために、様々な炭素系固体酸触媒(比表面積、スルホ基の量、スルホ基のついている位置、酸性官能基の量)を合成した。そして触媒特性への影響を検討し、用いた炭素担体に大きく依存することを明らかとし、スルホン化活性炭よりも高活性な触媒を見出した。また、酸強度分布を測定し、違いを見出した。
ここまで、平成24年度、平成25年度は、当初の研究計画にそって順調に進展した。そのため、平成26年度も引き続き、当初の交付申請書の研究実施計画に従って研究を推進する。すなわち、引き続き、触媒の改良および反応条件およびセルロース前処理の検討を行い、より低温でのセルロース高効率糖化の実現する触媒開発をめざす。特に、酸強度分布にも着目して進める。
2014年1月に発注したIn-situ FTIR分光測定用の石英製セルが、納期が4月以降にずれ込んだため。2014年1月に発注したIn-situ FTIR分光測定用の石英セルの購入。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件)
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