研究課題
我々は、スルホン化活性炭触媒が,多糖から単糖への選択的な加水分解において、既存の強酸性イオン交換樹脂触媒と比較して,熱水安定性だけでなく、触媒活性およびグルコース選択性が明らかに高いことを見出している。さらに最近、他の研究者らから様々な類似固体酸触媒が報告されている。それらの触媒活性因子や触媒作用機構には未解明な点が多い。そこで本研究では,スルホ基を有する固体酸触媒の触媒作用の解明およびその応用について検討した。スルホ基を有する固体触媒として、スルホン化活性炭、強酸性イオン交換樹脂のアンバーリスト15、Nafion NR50などを中心に、室温および温和な水熱条件下での吸着作用および触媒作用を比較検討した。各固体酸触媒のキャラクタリゼーションは、元素分析法、滴定法、電子顕微鏡観察で行った。触媒反応および吸着実験の基質には、重合度などの異なるオリゴ糖、炭素数の異なる糖、官能基の異なる糖を用いた。デンプンやボールミル処理したセルロースの加水分解に対して、スルホン化活性炭はAmberlyst 15やNafion NR50などの市販の樹脂系のスルホ基含有固体酸触媒より高活性を示し、スルホ基の溶出や活性劣化は見られなかった。重合度の異なるオリゴ糖(重合度2-7)の加水分解活性を比較したところ,重合度が高いオリゴ糖ほど加水分解が速く、この傾向はH2SO4(溶液)や樹脂系の固体酸触媒とは異なり、反応に対する吸着過程の関与の可能性を示唆している。また、基質が酸性糖の場合は、スルホン化活性炭の特異性はみられず、ことのことも吸着過程の重要性を示唆している。また、固体の炭化度とスルホ基の密度をそれぞれ変えることにより、それぞれの基質に適した固体触媒を調製し、有効性を実証した。
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