研究課題/領域番号 |
24560950
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 北九州市立大学 |
研究代表者 |
黎 暁紅 北九州市立大学, 国際環境工学部, 教授 (30326459)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | BTL / エッグシェル型触媒 / ナノ構造 / F・T合成 / 水素化分解 |
研究概要 |
本研究は、木質系バイオマスをガス化して得られた合成ガス(一酸化炭素と水素の混合ガス)から低い反応圧(1.0 MPa以下)で高オクタン価を持つ自動車燃料(C5~C9イソパラフィン)を直接製造するBTLプロセスのための新規の高性能触媒と製造プロセスを開発することを目的としている。今年度では、①鉄系FT合成触媒におけるエッグシェル触媒の効果の確認、②FT合成触媒とゼオライトのハイブリッド効果の確認、③ハイブリッドするゼオライト種の検討を行った。その結果、調製した20wt%Feエッグシェル触媒の断面をEPMAで元素分析した結果、担体の表面近傍に選択的に活性金属が担持されていることが確認された。含浸触媒とエッグシェル触媒で反応を行った結果、①含浸触媒に比べエッグシェル触媒の方が炭素数の大きな炭化水素の生成割合が大きかった。連鎖成長確率αを計算したところ、含浸触媒が0.68、エッグシェル触媒が0.70であった。また、炭素回収率がエッグシェル触媒の方が大きかったことからも、含浸触媒では触媒細孔内に重質炭化水素が残ったと考えられる。②ゼオライトをハイブリッドさせると、重質炭化水素の分解が起こり、かつ、FT合成触媒のみの反応の時には見られなかったイソパラフィンが生成した。C-回収率が向上したことから、FT合成触媒外表面に付着していたと考えられる炭化水素も分解され、コーキングの抑制にもつながっていると考えられる。③炭化水素生成物については、BEA(25)のハイブリッド触媒での反応の方が、C5~C9の生成割合が高かった。USY(30)の場合、C2,C3の割合が高かったことから、BEA(25)よりもより分解が進行したのでC5~C9の生成割合が低かったのではないかと考えられる。結果として、ガソリン留分(C5~C9)の生成割合が高かった、BEAをハイブリッドさせるゼオライト種に選定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
FT合成反応について、ゾル・ゲル法より、ナノ分散Feのエッグシェル触媒の調製し、ナノ構造であることをXRD及びEPMA法より確認した。また、活性金属の分散度と触媒構造を確認した後、固定床反応装置にて合成反応の評価を行った。さらに低圧(1.0MPa以下)での反応効率を評価した。 水素化・異性化分解について、細孔径の大きいUSYとβゼオライトを選定し、ハイブリッド反応を行い、触媒の評価を行った。 当初計画の通りに進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
Fe系FT合成触媒の活性が低いため、高活性のCo系エッグシェル触媒を調製して利用することより、高効率の固定床用FT合成触媒を開発する。一方、今年度用いたゼオライトでは、生成したガソリン留分炭化水素の逐次分解が進行したため、ガソリン留分の範囲より小さな炭素数の炭化水素の生成割合が高かった。そこで、ゼオライトによる逐次分解を抑えるために、粒子径の短いナノサイズゼオライトを調製し、ハイブリッドさせる。更に、ナノサイズアルミナと複合することより酸量と酸強度を調整する。
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次年度の研究費の使用計画 |
消耗品、備品:45万円 旅費:10万円 謝金:50万円 その他(計測分析)5万円
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