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2012 年度 実施状況報告書

広域可視光利用のための遷移金属酸窒化物水分解光触媒の開発

研究課題

研究課題/領域番号 24560953
研究種目

基盤研究(C)

研究機関独立行政法人物質・材料研究機構

研究代表者

高田 剛  独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, 研究員 (80334499)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード光触媒 / 水分解 / オキシナイトライド / ドーピング / 助触媒 / 可視光 / ペロブスカイト / バンドギャップ
研究概要

平成24年度は、可視光照射下において水の完全分解を達成するための光触媒の研究を行った。主に対象とした物質はTa系ペロブスカイト構造を有する遷移金属オキシナイトライドである。一般式はATaOxNy(A=La,Ca,Sr,Ba, X+Y=3)で表され、BaTaO2NやLaTaON2という組成の化合物が挙げられる。これらの物質はバンドギャップが2 eV程度であり、この物質を用いて水分解が実現できれば、利用可能な波長領域がこれまでよりさらに100 nm程度延びる。このLaTaON2という化合物は単味では水分解反応は進行しない。本研究での主な改善的なアプローチは異元素導入による物性変調と助触媒との組み合わせによる高機能化である。異元素導入による高活性化の手法として検討したのはMgのドーピングによる高活性化である。MgはTaとイオン半径が近く、Ta5+サイトを同型置換することができる。Ta5+サイトの一部をMg2+で置換すると、カチオン成分の電荷の差を補償するために、N3-がO2-に一部置き換わりLaTa1-xMgxO2+3xN1-3xの一般組成で表される一連の化合物を得ることができた。特にxが1/3のときに、高活性であった。さらにRh-Cr複合酸化物を担持することにより、可視光照射下で水素と酸素が同時に生成することが確認できた。遷移金属をベースとしたオキシナイトライドでバンドギャップが2 eV程度のものを用いて可視光照射により水素と酸素の同時生成が進行したのは初めての例である。現時点では、水素と酸素に加え、窒素の生成も見られる。これは、触媒の分解が部分的に起こっているということであり、これを抑制することが、安定かつ高活性に水分解を進行させるために解決すべき課題となる。そこで、年度最後に新規助触媒を発見し、水の酸化を促進し、水の可視光分解が定常的かつ安定に進行することに成功した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

バンドギャップが小さい化合物において可視光で水分解を行うことは、最も困難であり、挑戦的な課題である。当研究者は、当初の予定より難易度の高い課題を設定し、それを当該年度の研究で、それを解決する段階まで進展させた。その解決手段は今までにない手法で、新しい大きな展開が次年度以降に確実に期待できる。

今後の研究の推進方策

これまでに、本研究分野での推進を拒んでいたことはバンドギャップが2eV程度のもので水の分解反応が進行せず、またそのための方法論がわかっていなかったことである。24年度の研究で、これをブレークするための新しい手法を見出し、水分解を実現したため、今後の見通しがはっきりとしてきた。また、研究室の新規立ち上げも一段落したので、今後はスムーズに研究が進み、成果が出るものと思われる。

次年度の研究費の使用計画

次年度は20万円の物品費しか用意していない。初年度に、新たな実験室立ち上げのために本研究費の大部分を投資して、すでに基本的な実験を行えるように設備が整った。よって次年度には特に購入する備品等はなく、試薬等の消耗品の購入に割り当てる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Synthesis and photocatalysis of Mg-doped LaTaON2 for water splitting2012

    • 著者名/発表者名
      Chengsi Pan, Daoai Wang, Tsuyoshi Takata, Kazunari Domen
    • 学会等名
      触媒学会
    • 発表場所
      九州大学伊都キャンパス
    • 年月日
      20120925-20120925

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公開日: 2014-07-24  

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