研究課題/領域番号 |
24560954
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
堀内 正隆 北海道医療大学, 薬学部, 講師 (90322825)
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研究分担者 |
落合 正則 北海道大学, 低温科学研究所, 准教授 (10241382)
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キーワード | タンパク質 / バイオテクノロジー / バイオリアクター / 生物・生体工学 / ナノ材料 |
研究概要 |
平成25年度は,昆虫細胞,カイコ虫体,および動物細胞において,GRP-tag融合タンパク質の発現実験を行った.まず,細胞内貯留型タンパク質であるPCPE1やEYFPなどをGRP-tagと融合したコンストラクトをバキュロウイルス-昆虫細胞発現系により発現させた.これら発現細胞から抽出したGRP-tag融合タンパク質は,カードランビーズにより純度良く精製することができた.またGRP-tagのアミノ末端側にカイコβGRPに由来する分泌シグナルを付加した分泌用GRP-tag (secGRP-tag) を開発し,分泌型タンパク質であるNELL2などと融合し,昆虫細胞における分泌生産を試みた.その結果,培地中にはsecGRP-tag融合タンパク質が分泌され,カードランビーズにより培地中から直接精製することができた.本来細胞内貯留型タンパク質であるEYFPについてもsecGRP-tagをつけて発現させたところ,細胞内の小球への蓄積が観察され,その一部は細胞外へ分泌されることが確認された.さらにGRP-tagおよびsecGRP-tagと融合したEYFPをカイコ虫体で発現させることにも成功した.動物細胞においては,エピゾーマルベクターを利用することで,GRP-tagおよびsecGRP-tag融合タンパク質の恒常発現系を容易に構築することができた.動物細胞発現系の場合,培地には10%という高濃度の血清が含まれているにも関わらず,secGRP-tag融合タンパク質はカードランビーズを用いて培地から1ステップで直接精製することができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成25年度は,昆虫培養細胞,カイコ虫体,動物細胞によるGRP-tag融合タンパク質の分泌生産系の構築であったが,当初の予想以上に順調に進展したため,これらは年度中頃には達成した,そこで平成26年度の実施計画である,様々なカードラン担体の作製法の開発に平成25年度中から着手することができたことから,当初の計画以上に進展していると評価した.
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は,新たなカードラン担体の開発に邁進する.マイクロタイタープレートのウェル内にコーティングしたカードラン担体については,表面に蛍光標識した受容体タンパク質などを固定化し,これらの受容体と結合するタンパク質や薬剤を添加した際の蛍光変化を調べ,プロテインチップとして利用できるかどうか調べる,また,カードランシートには,様々な基質を分解する酵素を固定化し,基質の分解活性や,カードランシートの耐久性などを調べ,工業的な応用へ結びつけるための基本情報を収集する.
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は,研究代表者が北海道大学から北海道医療大学へと異動したため,前所属機関において使用していた実実体顕微鏡を新規に購入する必要が生じた.そこで前倒し請求により実体顕微鏡とその周辺機器の購入費用を要求した.しかし要求時に販売していた商品は,予算が入金した時点ではすでに値上がりしており,予算不足となったことから,年度内の購入を断念した.そこで基金制度を最大限に利用して,次年度の予算と組み合わせることで実体顕微鏡とその周辺機器を購入することにしたため,次年度使用額が生じた. 平成26年度予算が入金した段階で,次年度使用額と合わせて実体顕微鏡と周辺機器を購入することで,平成25年度分の予算を全額使用する計画である,
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