• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2012 年度 実施状況報告書

イオン液体とラジカルを利用したリグノセルロースのトータルリファイナリー

研究課題

研究課題/領域番号 24560959
研究種目

基盤研究(C)

研究機関金沢大学

研究代表者

仁宮 一章  金沢大学, 環日本海域環境研究センター, 助教 (10379125)

研究分担者 清水 宣明  金沢大学, 環日本海域環境研究センター, 教授 (50019634)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワードリグノセルロース / イオン液体 / リファイナリー / ラジカル / 超音波
研究概要

カーボンニュートラルな資源であるリグノセルロース(籾殻、木屑等)から効率的にエタノール(燃料・エチレン系化合物の原料)や芳香族化合物(プラスチックの原料)を製造する技術(リグノセルロースリファイナリー)を開発する。本申請のポイントは、リグノセルロースをイオン液体に溶解させ超音波(ラジカルや衝撃波が生じる)を照射することにより、セルロースの結晶構造とリグニン構造を同時に緩和し、さらに、前処理ホロセルロース(セルロース+ヘミセルロースの総称)と前処理リグニンへと効率的に分画する点にある。前処理ホロセルロースは酵素と酵母を用いた同時糖化発酵により迅速にエタノールへ変換させ、また、前処理リグニンも光化学反応で生じるラジカルにより芳香族化合物へ変換させ資源化する。
H24年度プロセス1: リグノセルロースの前処理・分画 (仁宮、清水、大学院生A)
本項では、リグノセルロースをイオン液体と超音波で前処理した後、前処理ホロセルロースと前処理リグニンに分画した。使用するコリン系イオン液体の種類,バイオマスに対するイオン液体の重量比、超音波照射強度・時間などがリグニン/ホロセルロース分離効率や前処理効率(酵素糖化率)に及ぼす影響を検討し、前処理条件を最適化した。ここで、低細胞毒性・高前処理能を持つコリン系イオン液体の探索には、既に合成したコリン系イオン液体のアニオンの種類を種々の飽和脂肪酸やリン酸系化合物へと変えた新規なイオン液体を合成し,その細胞毒性試験と前処理試験を行う。現状より優れたイオン液体が探索できない場合には、コリン酢酸を用いる。イオン液体前処理の効果を評価するため,分画したホロセルロースの酵素糖化反応を行なった。オリゴ糖、単糖、糖過分解物などを液体クロマトグラフィーおよびゲル浸透クロマトグラフィーで測定した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

予定通り、リグノセルロースをイオン液体と超音波で前処理した後、前処理ホロセルロースと前処理リグニンに分画できたため。使用するコリン系イオン液体の種類,バイオマスに対するイオン液体の重量比、超音波照射強度・時間などがリグニン/ホロセルロース分離効率や前処理効率(酵素糖化率)に及ぼす影響を検討し、前処理条件を最適化できたため。

今後の研究の推進方策

プロセス2: 前処理・分離されたホロセルロースの糖化・発酵 (仁宮、大学院生A)
H25年度は、(1)にて前処理・分離されたホロセルロースからエタノールへの同時糖化発酵条件を最適化する。(比較として、リン酸膨潤セルロース(モデルセルロース)も基質として用いる。)同時糖化発酵にはキシロース資化経路を導入した組み換え酵母を用いる。またホロセルロース糖化酵素にはメイセラーゼ等のセルラーゼ酵素製剤を用いる。前処理・分画されたホロセルロースを逐次添加する間欠流加発酵を行う。仕込み菌体濃度、糖化酵素濃度、基質流加速度が生産エタノール濃度、残存糖濃度に及ぼす影響を調べ、最適発酵条件(菌体・酵素の仕込み量の最小化等)を検討する。プロセス1での低毒性イオン液体探索とは別に、イオンビーム照射変異導入によるイオン液体耐性酵母の育種・そのDNAアレイ解析も行う。

次年度の研究費の使用計画

今年度の残額28,254円は消耗品として次年度に使用する。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] Effect of ionic liquid weight ratio on pretreatment of bamboo powder prior to enzymatic saccharification2013

    • 著者名/発表者名
      Kazuaki Ninomiya, Hiroshi Soda, Chiaki Ogino, Kenji Takahashi, Nobuaki Shimizu
    • 雑誌名

      Bioresour. Technol.

      巻: 128 ページ: 188-192

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Combined use of completely bio-derived cholinium ionic liquids and ultrasound irradiation for the pretreatment of lignocellulosic material to enhance enzymatic saccharification2013

    • 著者名/発表者名
      Kazuaki Ninomiya, Akiko Ohta, Sayuri Omote, Chiaki Ogino, Kenji Takahashi, Nobuaki Shimizu
    • 雑誌名

      Chem Eng. J.

      巻: 215-216 ページ: 811-818

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Cholinium carboxylate ionic liquids for pretreatment of lignocellulosic materials to enhance subsequent enzymatic saccharification2013

    • 著者名/発表者名
      Kazuaki Ninomiya, Takashi Yamauchi, Masafumi Kobayashi, Chiaki Ogino, Nobuaki Shimizu, Kenji Takahashi
    • 雑誌名

      Biochem Eng. J.

      巻: 71 ページ: 25-29

    • 査読あり
  • [学会発表] コリン系イオン液体と超音波を用いたリグノセルロースの糖化前処理2012

    • 著者名/発表者名
      仁宮一章、荻野千秋、清水宣明、高橋憲司
    • 学会等名
      第3回イオン液体討論会
    • 発表場所
      那覇, 沖縄県男女共同参画センター
    • 年月日
      20121207-20121208
  • [学会発表] コリン系イオン液体を用いたリグノセルロースの糖化前処理2012

    • 著者名/発表者名
      仁宮一章、表小百合、曽田裕司、太田晶子、高橋憲司、清水宣明
    • 学会等名
      日本生物工学会 第64回大会
    • 発表場所
      神戸, 神戸国際会議場
    • 年月日
      20121023-20121026
  • [学会発表] イオンビーム照射とFACSを繰り返すことにより得られたセルラーゼ酵素高発現酵母の特性評価2012

    • 著者名/発表者名
      仁宮一章、野村知世、清水宣明、佐藤勝也、鳴海一成
    • 学会等名
      第7回高崎量子応用研究シンポジウム
    • 発表場所
      高崎, 高崎シティギャラリー
    • 年月日
      20121011-20121012
  • [学会発表] マイクロ波加熱によるOHラジカルを用いたリグニンの低分子化2012

    • 著者名/発表者名
      青森有香、植田典巳稚、仁宮一章, 高橋憲司
    • 学会等名
      化学工学会 第44回秋季大会
    • 発表場所
      仙台,東北大学 川内北キャンパス
    • 年月日
      20120919-20120921
  • [学会発表] イオン液体を用いたバイオマスリファイナリー2012

    • 著者名/発表者名
      青森有香、井上健、西澤悠希、仁宮一章, 高橋憲司
    • 学会等名
      化学工学会 第44回秋季大会
    • 発表場所
      仙台,東北大学 川内北キャンパス
    • 年月日
      20120919-20120921

URL: 

公開日: 2014-07-24  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi