研究課題/領域番号 |
24560959
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
仁宮 一章 金沢大学, 環日本海域環境研究センター, 准教授 (10379125)
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研究分担者 |
清水 宣明 金沢大学, 環日本海域環境研究センター, 教授 (50019634)
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キーワード | リグノセルロース / イオン液体 / リファイナリー / ラジカル / 超音波 |
研究概要 |
カーボンニュートラルな資源であるリグノセルロース(籾殻、木屑等)から効率的にエタノール(燃料・エチレン系化合物の原料)や芳香族化合物(プラスチックの原料)を製造する技術(リグノセルロースリファイナリー)を開発する。本申請のポイントは、リグノセルロースをイオン液体に溶解させ超音波(ラジカルや衝撃波が生じる)を照射することにより、セルロースの結晶構造とリグニン構造を同時に緩和し、さらに、前処理ホロセルロース(セルロース+ヘミセルロースの総称)と前処理リグニンへと効率的に分画する点にある。前処理ホロセルロースは酵素と酵母を用いた同時糖化発酵により迅速にエタノールへ変換させ、また、前処理リグニンも光化学反応で生じるラジカルにより芳香族化合物へ変換させ資源化する。 H26(プロセス2 仁宮、大学院生A) 本項では、(1)にて前処理・分離されたホロセルロースからエタノールへの同時糖化発酵条件を最適化した。(比較として、リン酸膨潤セルロース(モデルセルロース)も基質として用いる。)同時糖化発酵にはキシロース資化経路を導入した組み換え酵母を用いた。またホロセルロース糖化酵素にはメイセラーゼ等のセルラーゼ酵素製剤を用いた。前処理・分画されたホロセルロースを逐次添加する間欠流加発酵を行った。仕込み菌体濃度、糖化酵素濃度、基質流加速度が生産エタノール濃度、残存糖濃度に及ぼす影響を調べ、最適発酵条件(菌体・酵素の仕込み量の最小化等)を検討した。プロセス1での低毒性イオン液体探索とは別に、イオンビーム照射変異導入によるイオン液体耐性酵母の育種・そのメタボロミクス解析も行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通り、イオン液体で前処理したリグノセルロースからほぼ理論収率どおりにエタノール生産を達成できているたため。また、論文発表についても予定通り行えているため。
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今後の研究の推進方策 |
プロセス3: 前処理・分離されたリグニンの低分子化 (仁宮、高橋、大学院生B) 本項では、(1)にて前処理・分離されたリグニンを低分子化(オリゴマー化)して化学原料として有効利用できるか検討する。(比較として、アルカリ処理で得られるモデルリグニンも基質として用いる。)リグニンの低分子化の方法として,光触媒存在下において光照射で生じるOHラジカルを利用する方法,H2O2のフェントン反応で生じるOHラジカルを用いる方法を用いる。光触媒濃度、H2O2濃度、照射光の波長、強度がリグニン低分子化に及 ぼす影響を調べる。低分子化したリグニンはエーテルで抽出し、残渣の乾燥重量から低分子化量を評価する。生成した低分子化合物を特定するために,液体クロマトグラフィー質量計やガスクロマトグラフィー質量計を用いた測定を行なう。低分子化して得られたリグニンが,樹脂として利用可能であるかどうか判断するために,熱物性を測定して熱溶融性について測定を行なう。また,低分子化したリグニンの分子量をゲル浸透クロマトグラフィーにより評価し,熱溶融するために必要な分子量などについて明らかにする。
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