• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2012 年度 実施状況報告書

クッションタンパク質を用いた高感度バイオ分子間相互作用検出システムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 24560963
研究種目

基盤研究(C)

研究機関岡山大学

研究代表者

今中 洋行  岡山大学, 自然科学研究科, 助教 (10379711)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワードバイオ分子 / 固定化 / 相互作用 / タンパク質 / 耐熱性 / ペプチド / T7ファージ
研究概要

本年度はまず,固体表面親和性ペプチドおよび構造が安定なクッションタンパク質をスペーサーとして利用する新しいアイデアに基づいた標的バイオ分子の高度機能的固定化法を確立すべく,モデルクッションタンパク質である超好熱菌由来のTryptophan synthase alpha subunit (TrpA)の適用について検討した.複数の超好熱菌ゲノムよりそれぞれTrpA遺伝子をクローニングし,各種発現用ベクターを構築した.それらを用いて,組換えTrpAの発現,精製を行った.そして,精製タンパク質の耐熱性を指標としたTrpAの絞り込みを進め,最終的にPyrococcus furiosus由来のTrpAの利用を決定した.さらに,TrpA以外にもデータベース検索により,Sulfolobus solfataricus由来indole-3-grycerol-phosphate synthaseなどを新規クッションタンパク質候補としてリストアップした.
一方,T7ファージを用いて,ランダムペプチドライブラリーを構築した.ライブラリーにおける提示ペプチドは,ファージ表層における自由度を向上させるためのフレキシブルリンカー(GGGS)を末端に挿入し,その下流に6あるいは12残基のアミノ酸から構成されるランダム配列を配置する形とした.構築したT7ファージライブラリー溶液を用いて,バイオパニングにより金表面に親和性を示すファージを計64クローン単離した.それぞれの表層提示ペプチドをコードする領域の塩基配列を決定し,候補ペプチド配列を14種決定した.得られた金表面高親和性候補ペプチドをモデルタンパク質である超好熱菌由来Esteraseに連結させ,金板への固定化特性について詳細に調べた.その結果,金表面に対して高い親和性を有し,タンパク質固定化後の機能維持にも好適な配列の取得に成功した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

データベース検索等を利用した候補クッションタンパク質のリストアップ,モデルクッションタンパク質をコードする遺伝子の各種超好熱菌ゲノムからの単離,精製タンパク質の調製,および耐熱性調査など,当初予定していた研究について特に遅れはない.また,金表面親和性ペプチドについてもランダムライブラリーの構築からバイオパニングを行い,高親和性候補ペプチドを複数得ている.モデルタンパク質を決定し,サブクローニングの後,各種ペプチドを末端に連結し,固定化特性に及ぼす影響について調べた.そして吸着力に優れ,タンパク質固定化後の機能維持効果が期待できるペプチドを見出した.これらについても,当初の予定通り順調に進展している.

今後の研究の推進方策

TrpAなどのクッションタンパク質を用い,表面親和性ペプチドを連結した形の分子の固定化特性および固定化後の高次構造の詳細な解析を行う.たとえば,TrpAの場合については,親和性ペプチドあるいは相互作用検出に用いるリガンドペプチドの挿入部位としてN末端およびTrpA 基盤構造(β-barrel)の形成に関与しないと予想されるαヘリックスループ構造を利用する.また,クッションタンパク質の3次構造の変性を低減させ,固定化後の構造維持効果を狙い,Coiled-coil構造などの相互作用ユニット導入の検討も行う.開発した表面特異的ペプチド及びクッションタンパク質を,ペプチド-タンパク質間相互作用の検出に適用し,リガンドペプチドの最適な挿入領域,挿入配列を決定する.さらに,同じ配列を有するペプチドを異なる形態で提示(固定化)させ,バイオ分子間相互作用検出の詳細な比較と汎用性の担保が可能となるシステムの確立も目指す.幅広い相互作用力スペクトルを対象とした相互作用検出システムの検証をSandwich ELISA により行う.金表面に関しては表面プラズモン共鳴法などで利用されている既往のバイオ分子固定化法との比較検証も行う.これらの検討を通じて,高感度バイオ分子間相互作用検出システムを可能とする最適なクッションタンパク質を開発するとともに,クッションタンパク質の実用化の可能性について総合的に評価する.

次年度の研究費の使用計画

設備備品の購入は予定せず,主に消耗品の購入への使用を予定している.内訳としては,試薬類,ガラス・プラスチック器具類,分取用カラム,金属粒子,金属平板等の購入を想定している.また研究成果発表のための旅費や調査・研究旅費,研究成果投稿料に関する支出も計画している.

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] 新規金表面親和性ペプチドタグの開発

    • 著者名/発表者名
      高橋拓也,清水友樹,今村維克,今中洋行
    • 学会等名
      日本生物工学会西日本支部 第2回講演会
    • 発表場所
      岡山
  • [学会発表] 重森 陽士郎,吉田 香織,石田 尚之,今村 維克,今中 洋行,高橋 裕一郎

    • 著者名/発表者名
      新規金表面親和性ペプチドのスクリーニングおよび結合特性解析評価
    • 学会等名
      化学工学会 第78年会
    • 発表場所
      大阪
  • [学会発表] 松下 瑠奈,石田 尚之,今村 維克,今中 洋行

    • 著者名/発表者名
      CS複合体形成をモデルとしたバイオ分子間相互作用に及ぼすリガンド固定化の影響
    • 学会等名
      化学工学会 第78年会
    • 発表場所
      大阪

URL: 

公開日: 2014-07-24  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi