現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
(1)様々な弾性率を有し、かつ様々な細胞培養ドメイン(細胞外マトリックス、細胞結合部位オリゴペプチド)を表面修飾した細胞培養基板の開発を行うことができた。(2)造血幹細胞の増殖に最適な弾性率を有し、最適なナノセグメントを有するバイオマテリアルを開発することができた。(3)幹細胞の分化に最適な基板設計における物理因子の効果をまとめて、総説として発表することができた(A. Higuchi Q.-D. Ling, Y. Chang, S.-T. Hsu, A. Umezawa, Physical cues of biomaterials guide stem cell differentiation fate,, Chemical Reviews, 2013, in press. Impact Factor=40.2).(4)膜ろ過法による脂肪由来の幹細胞を純化する方法を開発することができた(A. Higuchi, A. Umezawa et al., The Isolation and Differentiation of Human Adipose-Derived Stem Cells Using Membrane Filtration, Biomaterials, 33 (2012) 8228-8239).
|
今後の研究の推進方策 |
今後、(a) 様々な剛性 /弾性を有し、かつECM並びに細胞接着因子ペプチドが固定化された細胞培養基板の調製を行なう。細胞培養基板の剛性 /弾性は、原子間力顕微鏡により計測する。さらに、ナノセグメント固定化細胞培養基板上におけるiPS細胞並びにES細胞の培養を行う。 すなわち、ナノセグメント(ECM並びに細胞接着因子ペプチド)固定化細胞培養基板上でヒトES細胞(H9)並びにヒトiPS細胞(AH-1, 申請者が独自に脂肪由来幹細胞にretrovirusを用いてOct4, Sox2, c-Myc, Klf4遺伝子を注入して作成したセルライン化されたiPS細胞)をXeno-フリー培地[X-VIVO10培地(Lonza Walkersville製)+成長因子]中で培養する。7日おきに新しい細胞培養基板上に細胞の継体を行う。培地交換は毎日行い、半分の培地を新培地と交換する。5継体ごとに、ヒトES細胞(H9)並びにヒトiPS細胞(AH-1)の多分化能表面マーカー(Oct-3/4, Sox2, Nanog, SSEA-3, SSEA-4, TRA-1-81, TRA-1-73)の発現性を免疫染色法並びにフローサイトメトリー法を用いて確認する。また、5継体ごとに、テラトーマ形成能を評価するとともに、三胚葉細胞への分化能力を確認する。いかなる剛性/弾性を有する細胞培養基板がヒトES細胞(H9)並びにヒトiPS細胞(AH-1)の培養に適しているか(多分化能を長期的に維持しているか)、さらには、いかなるECM並びに細胞接着因子ペプチドがヒトES細胞(H9)並びにヒトiPS細胞(AH-1)の培養に適しているかを評価する。
|