研究課題/領域番号 |
24560972
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
山田 克彦 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30402481)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 姿勢制御 / 宇宙機 / CMG |
研究概要 |
本研究では,1台の多自由度CMGによる宇宙機の姿勢制御方法の確立とその実験的検証を目的とし,H24年度は可変速2軸ジンバルCMGの設計・製作を実施した.このCMGはホイールの回転角速度を一定とする機能とジンバル回転軸をロックしてジンバル回転角を固定する機能を有しており,これにより,ホイールの回転角速度を一定にすることで固定速2軸ジンバルCMGとなり,ジンバル回転軸の1つをロックすることで可変速1軸ジンバルCMGとなる.H24年度はこのCMGの基本動作の確認を行い,ホイールの回転角速度を一定に保つことができることと,各ジンバル軸を機械的にロックすることで,その軸の自由度をもたないCMGとして動作できることを確認した.さらにCMGの出力トルクを検証するために6軸力・トルクセンサを購入し,CMGのトルク特性の計測を行った.その結果,CMGとしてほぼ想定通りのトルクを出力できることと,ホイールの駆動トルクの反作用トルクを検出できることを確認した.また,このトルク計測値とCMGのもつ角運動量の比較計測を行い,CMGの角運動量変化がほぼ出力トルクに対応することを確認した.さらに1台の多自由度CMGによる姿勢制御アルゴリズムの検討を行い,CMGの各軸のトルクの最大出力値にアンバランスがあるような場合にも,効率的に姿勢制御マヌーバを行える多自由度CMGの駆動方法を得た.このアルゴリズムの有効性については数値シミュレーションで確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
多自由度CMGの動作確認を行い,ほぼ想定通りのトルク出力が得られたことで,ハードウェア面においては順調に推移していると考える.ただし,当初予定していた3軸運動を地上で実現する模擬宇宙機に関して,その製作はまだ実施していない.これは,当初予定していなかったCMGの出力トルクの測定を実施したためで,CMGの各軸の出力トルクのアンバランスが予定よりも大きく,CMGのホイール駆動トルクが,他軸の駆動トルクのクロストーク分に埋もれてしまう懸念が生じたことによる.計測の結果,CMGのホイール駆動トルクは単独でも有効であることが確認されたため,今後宇宙機姿勢のシミュレータの製作に着手する予定である.また,姿勢制御アルゴリズムについても,各軸に大きなトルクアンバランスがある場合のアルゴリズムを検討し,その効果をシミュレーションで確認した.今後このアルゴリズムをCMGのハードウェアを用いて検証する.
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今後の研究の推進方策 |
CMGの出力トルクを計測するための力・トルクセンサからほぼ想定通りの出力トルクが得られたことから,このトルクセンサ計測値を用いた宇宙機の姿勢のハイブリッドシミュレータをまず構築する.これは,CMGの出力トルクの計測値を用いて宇宙機の姿勢運動をコンピュータ上で模擬することにより,CMGにより駆動される宇宙機の姿勢を求め,その姿勢と目標値との差からCMGのハードウェアを駆動するものである.このように宇宙機の姿勢運動をコンピュータ上で模擬し,CMGはハードウェアを用いることからハイブリッドシミュレータと呼ぶ.このシミュレータでCMGによる宇宙機の姿勢運動の制御を実現したのち,CMGと姿勢制御計算機からなる模擬宇宙機を空気浮上装置に搭載して,宇宙機の姿勢運動も物理的に実現可能な実験装置を構築する.また,姿勢制御アルゴリズムについても,これらのシミュレータでリアルタイムで実現可能であり,効率的に姿勢制御を行いうることを確認する.
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次年度の研究費の使用計画 |
空気浮上装置で浮上させる予定の模擬宇宙機をH24年度に製作していないため,この宇宙機の製作費用として使用する予定である.さらに,模擬宇宙機の製作と並行して,模擬宇宙機の姿勢決定装置や,電源系について部品購入・製作を行う.
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