本研究では,1台の多自由度CMGによる宇宙機の姿勢制御方法の確立とその実験的検証を目的とし,H25年度までに可変速2軸ジンバルCMGの設計・製作と,そのCMGを搭載して宇宙機の姿勢制御実験を行う空気浮上軸受による地上シミュレータを構築した.また,可変速2軸ジンバルCMGによる宇宙機の姿勢変更軌道を導出した.H26年度は,この宇宙機の姿勢変更軌道を用いて可変速2軸ジンバルCMGによる宇宙機の姿勢変更の性能について検討を行い,姿勢変更を行う向きによって姿勢制御性能に違いは生じるが,あらゆる方向に対して姿勢制御可能であることを明らかにした.さらに,可変速2軸ジンバルCMGによる宇宙機の角速度減衰性能について検討を行い,CMGが宇宙機のもつ初期角運動量を吸収できる場合には,宇宙機の角速度を0にすることができること,また初期角運動量を吸収しきれない場合には最大慣性主軸回りの純スピン運動となることを明らかにした.また,CMGによる姿勢制御で問題となる特異点問題について,特異点を状況に応じて通過または回避するステアリング則を構築し,その有効性をシミュレーションと実験装置を用いた地上実験によって示した.以上のように,研究全体を通して,1台の多自由度CMGによる姿勢制御則を開発するとともに,その実験モデルを模擬宇宙機に搭載して地上試験を行うことができる地上試験装置を開発した.開発した姿勢制御則をシミュレーションと地上実験によって確認することにより,1台の多自由度CMGによる姿勢制御性能を明らかにするとともに,その有効性を実証した.
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