研究課題/領域番号 |
24560973
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山川 宏 京都大学, 生存圏研究所, 教授 (50260013)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 帯電衛星 / ローレンツ力 / 相対軌道 / 軌道制御 |
研究概要 |
地球周回軌道上にある人工衛星を積極的に帯電させ、人工衛星が地球磁場中を飛翔することで生じるローレンツ力を用いて、人工衛星の軌道制御を行う研究を行った。 まず、地球磁場をダイポール磁場モデルで近似し、位置と速度の関数であるローレンツ力を地球周回円軌道の軌道要素で表現し、回転座標系における運動方程式を解析的に解いた。また、円軌道上の帯電していないターゲット衛星に対する帯電衛星の相対的な運動方程式を導き、地球磁場と帯電衛星の間のローレンツ力によって軌道面内における任意の2地点間を実現するための解析的な条件を導いた。さらに、帯電衛星の帯電量を漸次変化させることによって、2衛星の相対軌道変動を解析的に、あるいは、数値的に導出した.また、周期的な軌道の条件を導出した。解析の妥当性については、座標原点を基準に線形化した方程式ではなく,非線形運動方程式を用いて数値積分により検証した。 さらに、帯電量を変化させることにより、与えられた初期相対位置からターゲットの相対位置まで移行させる手法について考察を行った。衛星帯電量をステップ状、あるいは、連続的に変化することにより、任意の2つの位置・速度の境界条件を満たす制御手法を確立した。地球を周回する軌道における相対的な2地点間の移行については、まずは、解析解が適用可能な2次元でその妥当性を示した後、3次元的な相対軌道移行に適用し、広範囲な相対位置制御に応用可能であることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画では、地球周回軌道上にある人工衛星を積極的に帯電させ、人工衛星が地球磁場中を飛翔することで生じるローレンツ力によって、人工衛星の軌道制御の実現可能性を示すことを目標とした。平成24年度は、帯電量を変化させることにより、与えられた初期相対位置からターゲットの相対位置まで移行させる手法について、特に、衛星帯電量をステップ状、あるいは、連続的に変化することにより、任意の2つの位置・速度の境界条件を満たす制御手法を確立しており、おおむね順調に伸展していると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、積極的な人工衛星の帯電によって、地球磁場との相互作用によるローレンツ力だけではなく、帯電物体同士のクーロン力の軌道制御への可能性について検討することとしている。今後は、クーロン力による衛星相対位置制御の概念を検討し、2つの帯電衛星を想定した場合に,相対的な位置関係が保たれる平衡状態が存在することを示し,平衡状態に保つための軌道制御則を検討する。また、地球接近小惑星の軌道変更への可能性を、複数の帯電衛星との編隊飛行の観点から応用することを検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
同じ分野の海外の研究者との打合せ、および、国内学会参加のための旅費、関連書籍の購入等に使用する計画である。
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