本研究は,微小な壁面粗さが境界層の安定性や乱流遷移に及ぼす影響を,正弦波状の壁面粗さを用いて実験的に調べたものである.まず,二次元粗さが境界層の不安定性を大きく促進するのに対し,三次元粗さはほとんど不安定性を促進しないなど,二次元と三次元の粗さの影響の違いが明確にされた.また,正弦波状の壁面粗さを二次元的配置から斜行配置へと変化させると,二次元粗さで見られた不安定性の強い促進効果が徐々に弱められ,斜行角が90度に近づくと滑面上の境界層の不安定特性に漸近することが示された.さらに,壁面の僅かな段差が不安定性に及ぼす影響も実験と数値計算により示された.
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