研究課題/領域番号 |
24560977
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
石田 良平 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30145817)
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研究分担者 |
秋田 剛 千葉工業大学, 工学部, 准教授 (20405343)
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キーワード | 膜構造 / ガスインフレータブルはり / 有限要素法 / 三次元写真応用計測 |
研究概要 |
内部に気体圧力を加えて展開し,その形状を維持する膜材料で作られたガスインフレータブルはり構造の曲げ特性に関して,片持ちインフレータブルはりでは実験的に得られる荷重ーたわみ曲線が従来の理論から計算される曲線と大きくずれることが明らかになったため,本研究では理論的計算と実験結果との違いを合理的に説明するための新しい理論構築を行ってガスインフレータブルはり構造の設計に役立てることを目的としている. 上記目的の遂行に当たって有限要素法の定式化と計算ならびに実験との比較によるアプローチを行うが,初年度においては,1)力学モデルとして予備実験によって予測された膜の耐圧縮特性の組み込みを行った有限要素法モデルを構築し,2)すでにある実験装置をベースにした実験装置を新たに製作した.製作に当たり,三次元写真応用計測システムであるKURABO製Kuraves-MDを導入してその有効性を確認した. 本年度においては,Kuraves-MDシステムの応用として,ガスインフレータブルはりをストリンガーとして使用した航空機用主翼構造の変形計測への適用を行った.ストリンガーは反射特性の強い膜材料(アルミ蒸着したEVOH膜)でできたガスインフレータブルはりを使用し,主翼外皮には透明性の高いフィルム材料を用いた.このような構造の変形計測に対しても,三次元写真応用計測システムの適用は有効であることが確認された.なお,適用に際しては,いくつかの注意が必要であることも得られた.これらの点に関して,学会で報告した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度終了時点において問題になっていた点は,一台のカメラによって異なる視点から画像を撮影する場合,時間差によって圧力変動などが生じた場合に正しい変形状態が撮影できないことがわかっていた. 今年度においては,もう一台同じカメラを導入することでこの問題を解消した.つまり,二台のカメラ位置を固定しておいてほぼ同時にシャッターを切ることで初年度問題になっていた問題点は解消された.
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今後の研究の推進方策 |
初年度に積み残した計測系のシステム改良によりカメラ位置の問題とそれに伴う問題点はほぼ改良されたようである.今後,2012年度に検討を本格化したインフレータブルはり構造のを耐圧縮応力特性を組み込んだ張力場理論を用いた力学モデルならびにシェル理論に基づく有限要素法定式化に力学モデルについて具体的にプログラミングを行い,負荷-変形間の関係のシミュレーションを実施して実験結果と比較検討を行う. 得られた成果は随時学会等で発表し,論文にまとめて投稿する予定である.また,計測系のシステムを本課題以外の課題に対しても適用を考えたい.
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次年度の研究費の使用計画 |
2013年度は当初計上していなかった参加登録費が予想より少なく済み,人件費も少なく済んだために14,666円の残額が発生した. 最終年度(2014年度)は物品費に組み込んで使用する予定である.
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