初年度の砂層への飛翔体高速貫入試験において、貫入する飛翔体の軌道は真っ直ぐではなく、蛇行することがわかった。この時々刻々と変化する軌道を計測するために、これまで貫入速度履歴計測を目的として開発してきたマグネット・コイル法(多数設置したコイルを磁石搭載飛翔体が通過した際の誘導起電力を検出する方法)を応用できないか検討した。結果、コイル中心からの偏心量および飛翔体のコイル面に対する傾きをパラメータとして導入した理論式を構築することに成功し、マグネット・コイル法で得られた波形から飛翔体貫入経路を同定する手法を確立するのに有益な知見を得た。現状では自動的に軌道を算出するには至っていないが、今後はそのシステムの開発が研究課題となる。 本成果は、これまで理解するのが困難であった「不均質な粒状体中を高速で貫入する物体周りに誘起される物理現象」の解明のために、有益な情報を提供すると考える。
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