研究課題/領域番号 |
24560979
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研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
大津 広敬 龍谷大学, 理工学部, 准教授 (20313934)
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キーワード | 再突入飛行体 |
研究概要 |
バルートを用いた再突入飛行体システムで揚力を発生させるためには、バルートを傾けることにより、流れに上下方向の非対称性を作り出す必要がある。そのため、上下方向にバルート部分の振動が発生する可能性がある。昨年度の研究により、振動現象は先端の宇宙機から発生する衝撃波とバルートから発生する衝撃波が干渉し、バルート表面において局所的な圧力上昇を引き起こすことが主な原因と考えられ、それを避けるために宇宙機から発生した衝撃波がバルートの内側を通過するようバルートの形状を設計すれば良いことが明らかとなった。しかしながら、マッハ数が低下し1に近づくにつれて、宇宙機から発生する衝撃波形状は垂直衝撃波に近づくため、低マッハ数環境下では、上記の条件を満たすバルート形状を作成することできない。そこで、今年度は、低マッハ数(マッハ2)における振動現象について風洞実験を行った。 実験模型には、昨年度の実験において強い衝撃波干渉による振動が起きた模型形状について、傾斜角を変えて試験を行った。本研究では、空気力によるバルート変形の効果を再現するために、複数の変形した形状の模型を用意した。変形についてはバルート半径に対して10 %の振幅を持ち、周期的に変化すると仮定して作成した。また、形状を正確に再現するためにすべての試験模型は3次元プリンタを用いて作成した。 実験の結果、全ても模型形状について、低マッハ数領域では、衝撃波干渉に伴う圧力上昇が比較的小さいため、極超音速領域で見られた振動現象は見られなかった。従って、低マッハ数領域では、バルートを傾けることによる衝撃波干渉などによって振動現象はみられないことが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の研究成果によって、低マッハ数領域においてバルートの振動現象が起きないことが明らかとなり、次年度以降の形状設計における重要な指針を得ることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
遷音速領域における振動現象の確認を風洞実験と数値流体シミュレーションの両方を用いて行う。また、過去の広範囲のマッハ数領域における実験・解析結果をもとに、バルート形状決定を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
風洞実験実施における学生の旅費等において補助が得られたため。 衝撃波干渉に伴う振動現象の再現を目指すために、非定常流体解析を行う。そのために、ワークステーションを購入する。また、遷音速領域での振動現象確認のための風洞実験を外部設備にて行うための旅費に利用する。 本成果を発表するために、国内・国外にて研究成果発表を行う。
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