研究課題/領域番号 |
24560980
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 摂南大学 |
研究代表者 |
岸本 直子 摂南大学, 理工学部, 講師 (60450714)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 格子投影法 |
研究概要 |
本研究は,昆虫の羽化を3次元計測装置で計測し,昆虫の羽の展開メカニズムを定量的に評価することを目標としている.本年度は,基準面を用いた格子投影法に基づく計測装置3台から構成された全周形状計測装置を購入し,昆虫の羽化を撮影するための設定と調整をおこなった. 購入した珪藻装置の3台の計測系は約120度の角度をもって全周に配置されており,この3台の計測系で同時撮影した基準上の基準点をマッチングさせることで,全周の形状を計測する.また,計測精度は基準面間隔に比例するため,基準面間隔を細かくとりそれを位相接続することで計測精度を保ちつつ計測空間を広げる工夫をしている. 本年度の設定と調整における課題点は,計測対象物の形状にもよるが,マッチングがうまくいく計測系の配置をどのように見つけるかで,昆虫の羽化がうまく計測できるような配置を試行錯誤によって探索した.また,計測精度と基準面間隔の関係を検証しながら所定の精度を出すための基準面間隔を設定した.その結果,幅200mm,奥行き200mm,高さ50mmの計測範囲に対して,50μm以下の標準偏差で全周計測することができた.この計測範囲ならびに計測精度は,昆虫の羽化を撮影するのに十分な精度と考えている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は計測装置を導入し,設定と調整をおこなう計画であったので,おおむね順調と言える.
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今後の研究の推進方策 |
羽化を計測する計測装置の準備は整ったので,今後は実際の昆虫の羽化を撮影して,3次元情報を得るとともに,得た情報に基づく数理モデルを構築して数値シミュレーションによる評価を検討していく計画である.次年度は,本年度購入して設定・調整した全周形状計測装置を用いて,最初は撮影しやすいと思われるセミの羽化から撮影にとりかかり,可能であれば蝶やトンボなどにも対象を広げていく予定である.データの取得とともに数理モデル構築に着手する.シミュレーションツールとしては,マルチフィジックス解析ソフトのCOMSOLを使う予定である. 最終年度は得られた羽化の3次元情報をデータベース化するとともに,数値シミュレーションに用いる数理モデルの改善のために,所蔵のマイクロCTを用いて,昆虫の羽の内部構造の3次元情報を取得したり,ヤング率などの羽の物性値を計測してモデル化に反映させたい.
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の消耗品費として,主に撮影対象となる昆虫の入手にかかる費用,撮影装置の調整などに関する物品費および旅費である.成果公表のための学会参加費も計上している.
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