研究課題
これまでに作成したカーボン・カーボン複合材に対するキセノンのスパッタ収量モデルは、山村らによるキセノンのカーボンのスパッタ収量モデルを剣持の方法により拡張したカーボン平面に対する素過程モデルとして用い、カーボン複合材の形状に合うように積分によって平均化処理することによって作成されている。このモデルでは、カーボンファイバと母材の割合がチューニングパラメータとして残るため、最適な割合を明らかにすべく、パラメトリックにスパッタ収量を計算して評価した。計算結果をカーボン・カーボン複合材に対する実験データと比較したところ、カーボン・カーボン複合材の密度とカーボン単体の密度から算出される空隙率を用いてこの割合を求めることで、実験値をよく再現できることが明らかになった。この結果は、電子顕微鏡等の設備を用いず、単純に比重を計測するだけでカーボン・カーボン複合材のスパッタ率の構築が可能であることを示している。なお、構築されたカーボン・カーボン複合材のスパッタ収量モデルでは、山村らのカーボン平面に対するスパッタ収量を素過程モデルとして用いるために、その精度評価が重要である。昨年度は初年度に購入したマイクロ波イオン源を用いてアルゴンを用いたスパッタ収量の取得試験を行ったが、円安等の影響によってキセノンガスを購入することができなかった。本年度は十分な量のキセノンガスを購入することができたため、1000 eVにおけるカーボンのスパッタ収量を照射角度を変えて取得した。ビーム発散の影響はイオンビームシミュレーションソフトを用いて補正され、その結果、山村のモデルは実験値をよく再現することが確認され、本研究で構築されたカーボン・カーボン複合材のスパッタ収量モデルの妥当性を強化する結果となった。
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Transactions of the Japan Society for Aeronautical and Space Sciences, Aerospace Technology Japan
巻: 12 ページ: pp.Pb_27-Pb_32
10.2322/tastj.12.Pb_27