イオンエンジンの寿命を予測する上で重要な電極材料のC/C複合材のスパッタ率を精度よく求めるために、その物理現象の解明とモデル化を行った。電子顕微鏡による観察の結果、C/C複合材の表面には直径約10μm長さ数100μmのファイバが指向性なく分布していることが明らかとなったため、剣持らの14%キセノンを含んだカーボン表面に対する垂直入射の山村のスパッタ率モデルを斜め入射のスパッタ収量モデルに拡張した上で、ファイバを模擬した円筒面上のスパッタを全方位から合算して平均化することでC/C複合材のスパッタ率を求めた。C/C複合材に対するスパッタ率はmu10イオンエンジンの耐久試験結果とよい一致を示した。
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