研究課題/領域番号 |
24560985
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
地引 達弘 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 教授 (40322094)
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研究分担者 |
志摩 政幸 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 教授 (70092583)
菅原 隆志 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 助手 (90456319)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 表面テクスチャリング / トライボロジー / 往復摺動 / 潤滑面 |
研究実績の概要 |
1.これまでの研究結果から、往復摺動潤滑面における表面微細加工の効果は、ストロークの大きさによって、有効な微細加工パターンが異なることが明らかとなった。すなわち、ストロークが1mmよりも小さな「微小往復動潤滑面」では、接触領域の内外に通じた潤滑油の通り道を持つ、「交差溝パターン」が有効であること、1mmよりも大きな「往復動潤滑面」では、潤滑油が荷重を受け持つ能力があると考えられる、「くぼみパターン」が有効であることがわかった。微細加工表面は微小往復動潤滑面において「初期なじみ」、すなわち、摺動初期に見られる摩擦の急減現象を加速する効果があり、交差溝パターン、くぼみパターン、無処理の鏡面の順にその加速効果を発揮することが明らかとなった。
2.ハイスピードカメラによる潤滑面の直接観察結果から、潤滑油の欠乏領域と気泡の発生において、無処理の鏡面と、微細加工表面とに違いがあることがわかった。その結果について考察するため、接触面の油膜圧力分布に関する計算を行い、理論的なアプローチを行った。その結果、気泡の発生は潤滑面の摺動部後流域が負圧になることでキャビテーションが発生し、その負圧の変化により気泡が発生/消滅、あるいは残留すること、キャビテーションには蒸気性と気体性の双方が存在しうること、特に後者の影響が強く現れること、などが計算結果より明らかとなった。
3.サファイア半球ガラスに一定の光透過率を持つクロム蒸着を施し、表面に導電性を持たせ、相手表面として微細加工表面を接触させることにより、潤滑状態を把握するための「接触電気抵抗」を測定しながら、往復摺動潤滑面をハイスピードカメラでコマ送り観察することに初めて成功し、触電気抵抗波形を、摩擦力波形、ポジション波形とともに、映像と同期直接観察するシステムを構築することに成功した。これにより、これまで詳しい観察が困難であった往復摺動の両端部、すなわち、摺動速度がゼロになる領域の詳しい観察と潤滑状態の把握が容易になった。
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