研究課題/領域番号 |
24560992
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
土屋 健伸 神奈川大学, 工学部, 准教授 (50291745)
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研究分担者 |
遠藤 信行 神奈川大学, 工学部, 教授 (20016801)
穴田 哲夫 神奈川大学, 工学部, 教授 (20260987)
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キーワード | フォノニック結晶構造 / 菱形音響レンズ / 集束音場 / GPU |
研究概要 |
研究で期間内に明らかにする事は平面状音響レンズの実用化に向けて,低減衰で小型・軽量な音響レンズを設計する方法を開発することである.海洋で用いる音響レンズの実用化に当たっては大きさと重量の問題点があることからフォノニック結晶構造と集束音場の 関連を明らかにし,最適な結晶構造配置を設計するアルゴリズムの開発とプログラムの作成を行う.さらに試作モデルによる音響レンズ性能に係わる集束音場特性を把握する. 本年度は平面状音響レンズの利得を向上させるため,菱形音響レンズを提案し,その基本特性を数値解析によって求めた.更に解析時間の短縮のためにGPU(Graphic Processing Unit)に対応したプログラムに改良した.その結果として従来の数十倍以上にプログラムが高速化され,レンズ形状の最適化に有する時間を大幅に短縮した.利得は7dB以上向上した.水中映像取得装置に装着する菱形レンズを設計し,軽量で小型となる最適なフォノニック結晶構造配置を決定することが可能となった. さらに最適化された菱形音響レンズの周波数特性や集束利得などレンズの基本特性を得ることができ,フォノニック結晶構造音響レンズの特徴を把握した.得られた成果は第34回超音波シンポジウムや日本音響学会にて発表を行い広く成果を公開した.また,海洋音響学会や2nd International Conference & Exhibition on Underwater Acousticsにおいても発表予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していた遺伝的アルゴリズムによる最適化を実施する前にレンズ形状のフレキシブルさを拡張するために菱形の音響レンズを開発しているため,GAベースのプログラムはまだ完成していないが,レンズ自体の利得性能を向上することができた点とフォノニック結晶構造体の最適な円柱直径をGAを用いず得ることができている.また,前年度開発してプログラムに修正を加えて複数のGPUにて計算ができるようになったため,更に計算速度が向上し,現時点ではGAに頼らずとも高速に最適設計ができる.幾分計画と違っているが,使用するツールが変更になっただけで,必要な成果は十分得られていると考える.
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今後の研究の推進方策 |
今後は複数のGPUを用いた高速演算を行って,フォノニック結晶構造を有するレンズの最適形状を設計する.次年度は最終年度となるため,まず縮尺変更した等価レンズを試作,計測を行う.測定結果と解析結果を比較して設計通りの性能を確認することによって効 率的な音響レンズ開発を行う.解析結果と実験結果の良好な一致がみられたら実寸大のレンズを製作し,大型水槽での実験を行う予定である..実寸大レンズは(独)港湾空港技術研究所が所有する大型水槽(3m x 3m x 1m)を用いて実測を行うことが可能である.大型水槽には既に過去の研究によって音響レンズの音場測定システムが構築されており,レンズの固定具を変更するだけで簡単に測定環境を構築可能であり,非常にリーズナブルかつスピーディな成果を得る選択である.
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度計画していた縮尺変更実験用の試作レンズの製作を行わなかった分,残金が生じている. 次年度は計画していた縮尺変更実験用の試作レンズの製作を行う予定である.
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