研究課題/領域番号 |
24560995
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 独立行政法人海上技術安全研究所 |
研究代表者 |
岡 正義 独立行政法人海上技術安全研究所, その他部局等, 研究員 (70450674)
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研究分担者 |
丹羽 敏男 独立行政法人海上技術安全研究所, その他部局等, 研究員 (10208267)
高見 朋希 独立行政法人海上技術安全研究所, その他部局等, 研究員 (50586683)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ホイッピング / 疲労き裂伝播解析 / 加速遅延現象 / スラミング / 荷重履歴 |
研究概要 |
き裂先端の塑性挙動に着目した疲労き裂伝播解析手法によって、ホイッピング等、ランダムに振幅の変動する荷重下で起こりうるき裂進展挙動を評価した。 本研究では、疲労き裂伝播解析プログラムを作成し、その解析精度を2段階荷重で確認した後、プログラム改良を行い、1サイクル毎にき裂先端の挙動を追うアルゴリズムを検討した。しかしながら、数値解析のエネルギー不安定や解析誤差等の当初課題をクリアするに至らなかったため、本研究では、ホイッピングの起振力でかつ、き裂進展を速めると考えられているスラミング荷重に着目し、スラミングを模擬した単一過大荷重が作用した際のき裂先端挙動を確認した。 その結果、過大荷重作用後の加速遅延現象が確認され、加速区間は過大荷重の大きさにさほど依存しないのに比べ、遅延区間は過大荷重が大きいほど長くなることが分かった。また、単一過大荷重が作用する時間的間隔の影響を検証し、例えば単一過大荷重が通常の最大荷重の2倍(過大荷重比2倍)のとき、加速区間で2回目の過大荷重が作用した場合(短間隔)は、わずかに加速したあと遅延現象が生じるが、減速区間で2回目が作用した場合(長間隔)は、有意な加速現象が生じるもののその後は遅延状態になることが分かり、疲労き裂長が過大荷重の作用する頻度と間隔に依存することが明確になった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画のとおり、き裂先端の塑性挙動に着目したき裂伝播解析プログラム(無限板の貫通き裂を対象)を作成した。本プログラムを使用して、本年度はスラミング荷重による疲労影響を物理的に評価することができた。作成したプログラムは、既往のプログラムと同等の結果を得ている。また、入力データとなるホイッピングを模擬した荷重サイクルモデルについても検討し準備することができ、概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後、実船のスラミングの荷重レベルと発現間隔に照らし合わせ、荷重履歴の影響を明らかにするとともに、ホイッピングのように1波毎ランダムに変動する荷重について、疲労き裂の加速減速現象を明らかにする。 具体的には、ホイッピングの減衰振動や波浪と振動の重畳荷重に対応するため、1サイクル毎のき裂先端挙動を追従できるようプログラムの改良等を行い、各種パラメータでのシリーズ計算を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
シリーズ解析用の計算機及びプログラムのコンパイラソフトを購入する。また、データ整理と解析実施のため計算支援者を雇用する。必要性に応じ、疲労試験を行うための試験片に充当する。
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