研究課題/領域番号 |
24560997
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 独立行政法人海上技術安全研究所 |
研究代表者 |
山田 安平 独立行政法人海上技術安全研究所, その他部局等, 研究員 (90443241)
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研究分担者 |
田中 義照 独立行政法人海上技術安全研究所, その他部局等, 研究員 (40373419)
高見 朋希 独立行政法人海上技術安全研究所, その他部局等, 研究員 (50586683)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 国際情報交換 |
研究概要 |
(1)船体桁模型の曲げ崩壊実験:損傷時の縦曲げ崩壊メカニズムを明らかにするために、大型タンカーの船体中央部をベースに縮尺模型を設計した。船体桁模型について、2013年度早期に発注し、年内に実験を実施する予定である。模型実験にて崩壊メカニズムを明らかにするための画像計測システム等の整備を行った。 (2)簡易推定手法の開発:圧縮部材の崩壊荷重、断面の平面保持性、引張部材の荷重等を考慮して、剛塑性解析による非損傷時船体最終強度推定のための簡易推定手法の開発を行った。簡易な矩形断面等に適用し妥当性の検証を行うと共に(3)の結果と比較検証を行った。その他、損傷時残余最終強度推定手法に関する文献等調査を行った。 (3)弾塑性FEM解析及び実船構造への適用検証:(2)の解析検証のためのFEA解析を行った。また、事故後の船体横傾斜に伴うハルガーダーの船体崩壊メカニズムを検討するために、縦曲げ・水平曲げの複合荷重を考慮した3次元非線形崩壊解析を行った。その結果、縦曲げ及び水平曲げが重畳する場合の、3次元的な崩壊メカニズムを明らかにすると共に、複合荷重に対する理論的な崩壊限界曲線との比較を行った。 (4)事故の類型化及びリスク・モデル構築:本項目については、2014年度から実施予定であったが、事故データ分析に多大な時間を要することから、先行して実施することとした。海難審判庁の事故データに基づき、衝突・座礁等の事故時の船舶の航行速度・角度等について、頻度分布作成し、確率分布推定を行った。その結果、衝突・座礁共に、12kt前後で衝突・座礁する頻度が最も高いことが分かった。12ktは我が国の航路制限速度であることから、何らかの因果関係があると推定できる。得られた頻度分布データは、ベイジアン・ネットワークによるリスク・モデル構築に資することができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)船体桁模型の曲げ崩壊実験:船体桁模型の設計を行った。模型実験では、使用試験機の制限等を考慮した縮尺模型の設計が重要であり、その意味では、全体計画のほぼ半分を達成したと考えられる。2013年度早期に模型を発注し、年内に実験を終了する予定である。 (2)簡易推定手法の開発:簡易推定手法については、プロトタイプを開発し、矩形断面等簡易な構造に対して(3)と共に適用検証を行っており、順調に推移している。今後は、(1)の結果により妥当性の検証を行う必要がある。 (3)弾塑性FEM解析及び実船構造への適用検証:(2)で実施した矩形断面等の簡易な構造についてFEA解析を実施して、解析検証を行っており順調に推移している。並行して、実船構造に対して、縦曲げ・水平曲げの複合荷重に対する崩壊解析を実施しており、当初計画以上の知見が得られている。今後は、(2)で開発した手法を実船構造へ適用し、FEA結果と比較検証を行う予定である。 (4)事故の類型化及びリスク・モデル構築:リスク・モデルの構築については、最終年度から実施予定であったが、事故データの類型化作業を先行して実施しており順調に推移している。
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今後の研究の推進方策 |
(1)船体桁模型の曲げ崩壊実験:曲げ崩壊実験模型の発注を早期に進め、年内に実験を行う予定である。得られた実験データを用いて、(2)の精度検証・(3)の解析検証を行っていく予定である。 (2)簡易推定手法の開発:簡易推定手法の適用範囲拡大のための更なる検討を行う。非損傷断面への適用検証を経て、今後は、損傷時の断面に対しても適用を拡張していく必要がある。(1)(3)の結果と比較することで合理的な推定手法を検討していく予定である。 (3)弾塑性FEM解析及び実船構造への適用検証:(2)の簡易推定手法の開発のために引き続きFEA解析を実施する必要があり、最終年度まで実施する予定である。 (4)事故の類型化及びリスク・モデル構築:事故の類型化については、2012年度に引き続き、事故データベースを用いて類型化を行い、リスク・モデル構築に資するデータベースを整備する予定である。リスク・モデルについては、効率的にリスク・モデルの修正が可能であり、グラフィカル・インターフェースを有するベイジアン・ネットワークを用いて構築する予定である。2013年度内に、事故の類型化を終え、最終年度には、リスク・モデルの構築等にエフォートを充当することとする予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
崩壊実験用の実験模型製作に50~60%程度の研究費が必要になる予定であり、その他模型実験実施のための計測センサー・消耗品、実験補助員の人件費等に使用する計画である。PC・事務用品・ソフトウェア等については、できるだけ既存のものを使用することにより、できるだけ経費を抑え、実験に要する費用に充てる予定である
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