研究課題/領域番号 |
24560997
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研究機関 | 独立行政法人海上技術安全研究所 |
研究代表者 |
山田 安平 独立行政法人海上技術安全研究所, その他部局等, 研究員 (90443241)
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研究分担者 |
田中 義照 独立行政法人海上技術安全研究所, その他部局等, 研究員 (40373419)
高見 朋希 独立行政法人海上技術安全研究所, その他部局等, 研究員 (50586683)
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キーワード | 縦曲げ最終強度 / 残余強度 / リスク / ベイジアンネットワーク / 衝突 / 損傷 / 崩壊模型実験 / 剛塑性解析 |
研究概要 |
(1)船体桁模型の曲げ崩壊実験:損傷時の縦曲げ崩壊メカニズムを明らかにするために、大型タンカーの船体中央部をベースに縮尺模型を製作した。非線形FEMを用いて崩壊模型のモデルを製作し事前解析を行った。荷重負荷のための治具・計測システムについて検討した。 (2)簡易推定手法の開発:圧縮部材の崩壊荷重、断面の平面保持性、引張部材の荷重等を考慮して、剛塑性解析による非損傷時船体最終強度推定のための簡易推定手法の開発を引き続き行った。その他、損傷時残余最終強度推定手法に関する文献調査を行った。 (3)弾塑性FEM解析及び実船構造への適用検証:事故後の残余強度を合理的・定量的に推定するために、非線形FEMを用いて、衝突・崩壊解析の2段階解析を行った。崩壊解析においては、衝突解析における残留変形・残留応力の影響を考慮して解析を行った。衝突解析において、衝突速度が最終強度低下に与える影響を定量的に明らかにした。(3)の成果について、国際会議に投稿し、次年度発表予定である。 (4)事故の類型化及びリスク・モデル構築:昨年度は、海難審判庁の事故データに基づき、10000トン以上の船舶について、衝突・座礁速度・角度のデータベスを構築した。本年度は、昨年度成果を日本船舶海洋工学会講演会にて発表した。さらに、対象船舶をさらに拡大し、5000トン以上の船舶について同様の解析を行い、データベースの解析結果を拡充した。その結果、衝突速度については、12kt前後で衝突する頻度が最も高いという前年度の結果をさらに裏付ける結果となったことが明らかとなった。12ktは我が国の航路制限速度であることから、何らかの因果関係があると推定できる。得られた頻度分布データを用いて、ベイジアンネットワークによるリスク・モデル構築に資することができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)船体桁模型の曲げ崩壊実験:実験装置の制限及び模型の溶接施工順序の複雑さから模型の設計に時間を要したが、曲げ崩壊船体桁模型を製作し、初期寸法の測定を行った。平行して、計測システム・画像計測システムの整備を行った。模型に対応するFEMモデルを作成し、非線形FEMを用いて、事前解析を行い、最大荷重・崩壊メカニズムの推定等を行った。模型実験はやや遅れているが、非線形FEMにより解析は先行して実施しており、順調に推移している。 (2)簡易推定手法の開発:簡易推定手法については、プロトタイプを開発し、矩形断面等簡易な構造に対して(3)と共に適用検証を行っており、順調に推移している。今後は、(1)の結果により妥当性の検証を行う必要がある。 (3)弾塑性FEM解析及び実船構造への適用検証:実船構造のFEMシミュレーションにより、損傷時の縦曲げ崩壊メカニズム・強度低下率が明らかになった。並行して、実船構造に対して、縦曲げ・水平曲げの複合荷重に対する崩壊解析を実施しており、当初計画以上の知見が得られている。今後は、(2)で開発した手法を実船構造へ適用し、FEA結果と比較検証を行う予定である。 (4)事故の類型化及びリスク・モデル構築:リスク・モデルの構築については、最終年度から実施予定であったが、事故データの類型化作業を先行して実施しており、順調に推移している。海難審判庁の事故データ解析を早期に拡充し、リスク・モデルの構築にかかる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
(1)船体桁模型の曲げ崩壊実験:崩壊模型実験及び材料の引張試験を早期に行う予定である。得られた実験データを用いて、(2)の精度検証・(3)の解析検証を行っていく予定である。 (2)簡易推定手法の開発:簡易推定手法の適用範囲拡大のための更なる検討を行う。非損傷断面への適用検証を経て、今後は、損傷時の断面に対しても適用を拡張していく必要がある。(1)(3)の結果と比較することで合理的な推定手法を検討していく予定である。 (3)弾塑性FEM解析及び実船構造への適用検証:実船構造への適用に係るFEMシミュレーションはほぼ終了しており、外水圧が作用した場合の縦曲げ崩壊強度について検討する。一方で、(2)の簡易推定手法の開発のために模型実験に対する解析検証及び簡易な断面構造に対するFEA解析を実施する予定である。模型実験との比較により、解析の妥当性を検証すると共に解析精度の更なる向上を目指す予定である。 (4)事故の類型化及びリスク・モデル構築:事故の類型化については、2012年度に引き続き、事故データベースを用いて類型化を行い、リスク・モデル構築に資するデータベースを整備する予定である。リスク・モデルについては、効率的にリスク・モデルの修正が可能であり、グラフィカル・インターフェースを有するベイジアン・ネットワークを用いて構築する予定である。2013年度内に、事故の類型化を終え、最終年度には、リスク・モデルの構築等にエフォートを充当することとする予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
崩壊模型実験の実施が次年度となったために、計測センサー等消耗品や人件費等次年度使用額が生じることとなった。 次年度に崩壊実験を実施することから、計測センサー・画像解析システム等実験消耗品、実験補助のための人件費等に計画的に使用する予定である。また、次年度は、成果発表のために、国内・国際学会発表を行う予定であり、旅費・その他経費(学会参加費)についても、計画的に使用する予定である。
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