本研究は、最新のIT技術を活用した省力・低環境負荷型の露天採掘システムの構築と、露天採掘および骨材生産に伴って発生するCO2排出量削減に関するLCA(ライフサイクルアセスメント)手法の確立を目的とするものである。平成26年度には、採石場内で稼動する重機の位置情報をリアルタイムで取得するシステムとして、デジタル無線機にGPSレシーバーを装着する方法を開発した。露天採掘場内で稼働するホイールローダ、原石ダンプ等の重機には、通常、無線機が登載されている。しかし、現在使用されているアナログ簡易無線機は、「電波法」の改正により2022年12月1日以降使用できなくなる。そこで、今後デジタル無線機への移行が急速に進む点に着目し、稼働重機に登載したGPSレシーバーで取得した位置情報を、デジタル無線機を介して事務所内のホストPCに転送するシステムを開発した。これにより、稼働重機の位置情報をホストPC上でリアルタイムで把握・管理することが可能になった。また、採掘に伴い日々変化する採掘場の地形情報をデジタルデータ化して作成した背景図に、GPS位置情報表示ソフトを利用して稼働重機の走行軌跡をリアルタイムでオーバーレイできるシステムを構築した。 平成24~26年度の研究期間に得られたその他の研究成果は、次の通りである。 1.露天採掘場周辺の植生や動植物の分布・生息状況を、GIS上で地形情報と合わせてデータベース化できるシステムを開発した。 2.VRS(バーチャルリアルシステム)を用いた露天採掘場の修復緑化シミュレーションと動的景観評価等により、景観保全を考慮した採掘計画を立案できるシステムを構築した。 3.物流活動に伴うCO2排出量の算定方法であるトンキロ法とGISのネットワーク機能を利用して、砕石運搬過程におけるCO2排出量を可視化する「見える化」システムを開発し、LCA手法への応用を可能にした。
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