研究実績の概要 |
出発物質をNaOH水溶液、高分散SiO2、TiCl4-HCl水溶液とし、水熱法でNa-GTS型チタノシリケート(Na-GTS)を合成した(仕込み組成比:TiO2/SiO2=0.32, Na2O/TiO2=5.6)。 Eu3+(Er3+)のGTS交換体は、単相のNa-GTS 0.5gを室温又は60℃でEuC13(ErC13)水溶液(25mL、0.01~0.1M)で振とうした後、固液分離-洗浄して得た。Na4(1-x)M4/3x[(TiO)4(SiO4)3]・nH2O(M = Eu, Er)のxを交換率と定義した。Euイオン交換体はEDTAキレート滴定により、上澄み中に残ったEuCl3水溶液の濃度を求め、Na-GTS中のNa+がどの程度のEu3+と置き換わったかを算出した。また、0.01,0.02および0.05 M EuC13水溶液でイオン交換を行った試料についてTEM-EDX分析を行った。Erイオン交換体は、ErCl3水溶液中に溶出したNa+がEr3+とどの程度置き換わったかを上澄み液の原子吸光分析によって調べた。最大交換率は、x=1.0(Eu)、0.64(Er)であった。XRD測定より立方晶系として求めた格子定数は、Eu3+の交換率が高くなるにつれ減少した。イオン交換率に伴うXRDパターンの変化は、交換率xが高くなるにつれて、100、200、211のピーク強度が小さくなり、110、111のピーク強度が大きくなった。同様の傾向は、Erイオン交換体についても見られた。Sr2+がGTSの細孔内の4eと6gサイトを占有することが報告されているので、6g、4eの原子位置座標からモデルを作成し、測定したXRDパターンと比較した。これより、4eだけにEu3+が占有したモデルが測定したXRDパターンに近づいた。交換体のEu3+は、4eサイトへ優先的に占有している可能性が高いと考えられる。
|