研究課題/領域番号 |
24561007
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 独立行政法人労働安全衛生総合研究所 |
研究代表者 |
佐々木 哲也 独立行政法人労働安全衛生総合研究所, 機械システム安全研究グループ, 上席研究員 (60358413)
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研究分担者 |
山口 篤志 独立行政法人労働安全衛生総合研究所, 機械システム安全研究グループ, 研究員 (20541048)
本田 尚 独立行政法人労働安全衛生総合研究所, 機械システム安全研究グループ, 上席研究員 (80358415)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ワイヤロープ / 疲労 / 内部損傷 |
研究概要 |
初年度にあたる平成24年度は、ワイヤロープの内部疲労損傷特性と素線応力の解明を行う計画であった。 まず、ワイヤロープの内部疲労損傷特性については、φ16mmのフィラー型鋼心ワイヤロープ IWRC6xFi(29) のS字曲げ疲労試験を行い、ロープ張力がワイヤロープの疲労強度に及ぼす影響を調査した。その結果、(1)ワイヤロープはロープ張力が大きくなるほど損傷が激しい。(2)内部断線はロープ張力が小さくても発生する。(3)張力によっては、可視断線がほとんど観察されなくても国内廃棄基準を超える内部断線が発生する。(4)可視断線が検出された時点で疲労試験を中断し、内部断線を計測したところ、全てのロープ張力でクレーン構造規格の廃棄基準を満たす断線が発生していた。(5)素線は疲労破壊で断線するが、素線同士の接触により摩耗した部分が疲労の起点とは限らず、摩耗が見られない部位からも疲労き裂が発生していた。といった知見が得られた。これらのうち、特に(3)、(4)の結果は、現在産業界で一般的に行われている外部からのワイヤロープ検査では内部損傷の発見が遅れ、それが破断事故の主要な原因となるという当初の予想を裏付けるものである。 一方、素線応力の解明については素線に半導体ひずみゲージを貼付したモデル試験体を作成し、素線応力の測定が可能であることを確認した。また、ヘルツの接触応力理論により、素線同士の接触応力を算出する手法についても検討した。しかし、予定していた感圧シートによる素線接触応力の実測までには至らなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ワイヤロープの内部疲労損傷特性の評価については予定通り進捗し、鋼心ワイヤロープでは表層部よりも内部の方が疲労損傷が先行するという当初の予想が裏付けられた。 一方、素線応力の解明についてはひずみゲージによる素線応力の測定はできたものの、予定していた感圧シートによる素線どうしの接触応力の測定までには至らなかった。 以上により、「やや遅れている。」という自己評価とした。
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今後の研究の推進方策 |
ワイヤロープの内部疲労損傷特性の評価については、今年度と同様の手法でウォーリントンシール型鋼心ワイヤロープを使用したS字曲げ疲労試験を行い、ロープ張力がワイヤロープの疲労強度に及ぼす影響を調査する。 また、素線応力の測定については本年度に予定していた感圧シートによる素線接触応力の測定を行うとともに、素線の疲労試験についても開始する。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度に使用したワイヤロープ、ひずみゲージ等は既に当研究所で保有していたものを使用したので、基本的に経費は発生しなかった。このため、本年度の直接研究経費は全て次年度に繰り越すこととし、主として感圧シート及び感圧シートの画像解析システムの購入に使用する。
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