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2012 年度 実施状況報告書

マンガン酸化微生物共生系とバイオリアクターを利用した海水中からのレアメタル回収

研究課題

研究課題/領域番号 24561008
研究種目

基盤研究(C)

研究機関独立行政法人海洋研究開発機構

研究代表者

宮崎 征行  独立行政法人海洋研究開発機構, 海洋・極限環境生物圏領域, 技術研究副主事 (50399573)

研究分担者 井町 寛之  独立行政法人海洋研究開発機構, 海洋・極限環境生物圏領域, 主任研究員 (20361933)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワードDHSリアクター / レアメタル / マンガン酸化物 / 微生物間共生系
研究概要

本年度はマンガン酸化物を産出するための土台となるDHS(Down-flow Hanging Sponge)リアクターの構築を行った。DHSリアクターは長さ950 mm 直径76 mmのポリ塩化ビニルを材質として作製した。リアクター内部には20 mm 辺のスポンジを22個吊した。リアクターは微生物の増殖を一定に保つため、大型恒温庫内に設置し温度は採取サンプル環境の15℃に設定した。培地については海水組成をベースに一次代謝させる基質として有機物は入れず、アンモニアとメタンをそれぞれ加え、マンガン濃度は約100uMで人工海水を作製した。植種源については沖縄県多良間海丘に広がる鉄酸化皮膜地帯のサンプルを用いた。スポンジの総体積は176 cm3であり、培地の滞留時間は4.5時間また気相の滞留時間は8時間で運転を開始した。これまで113日間運転を行ったところ、アンモニア酸化型リアクターでは、約70日目にアンモニアが酸化され亜硝酸の生成が確認された。またメタン酸化型リアクターでもメタンは酸化され、二酸化炭素の生成が確認された。しかし、マンガン酸化物の形成についてはまだスポンジ表面でも確認できておらず、流入及び流出の人工海水中のマンガンイオン濃度も同程度であることから、マンガン酸化物の形成には至っていない。今後は人工海水培地の条件を変えることにより、マンガン酸化物形成のための最適条件を模索する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度の研究計画としては、DHSリアクターの作成、通水試験及び運転開始であった。これまでのところアンモニアやメタンといった基質の酸化反応まで確認ができていることから、本DHSリアクター内部でアンモニア酸化菌やメタン酸化菌が生育している事を意味している。現在の所、マンガン酸化物が形成しているデータはないが、アンモニア酸化菌やメタン酸化菌が生育している事から、これら細菌が作り出す代謝有機物を利用してマンガン酸化菌によるマンガン酸化物の形成が期待できる。

今後の研究の推進方策

DHSリアクターの継続的な運転を行い、効率よくマンガン酸化物を形成させる条件検討を行う。これまでのところ、DHSリアクター内にアンモニアやメタンを代謝する微生物の増殖が確認されていることから、この代謝有機物を利用するマンガン酸化菌の増殖が期待される。アンモニアやメタンを酸化する微生物や後に増殖してくると期待されるマンガン酸化菌の特定を行うため、16S rRNA遺伝子を用いた系統学的解析を行う。また、マンガン酸化に関与するとされるmulti-copper oxidaseをコードしている遺伝子に特異的なプライマーを設計・適用することでマンガン酸化反応に関与する微生物の推定を行う。

次年度の研究費の使用計画

本研究は連続的に行うため、以下に掲げる試薬や物品が必要となる。DHSリアクター関連の消耗品、人工海水用試薬及び反応物検出試薬等。また、DHSリアクターに生息している微生物やマンガン酸化を担っている微生物の特定のため、分子生物学的手法をもちいた群集構造解析を行う。そのため、遺伝子解析用試薬を購入する。以降、マンガン酸化物が形成されれば、吸着可能なレアメタルの化学種や吸着能力の評価のため、結晶構造解析を行う為の試薬や消耗品を購入予定である。また、本年度購入予定であった大型恒温庫について、過去の物が使用できたため、次年度使用額の1,506,160円は、これら消耗品費や遺伝子解析用ソフトの購入に充てる。

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公開日: 2014-07-24  

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