研究課題/領域番号 |
24561008
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研究機関 | 独立行政法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
宮崎 征行 独立行政法人海洋研究開発機構, 海洋・極限環境生物圏領域, 技術研究主事 (50399573)
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研究分担者 |
井町 寛之 独立行政法人海洋研究開発機構, 海洋・極限環境生物圏領域, 主任研究員 (20361933)
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キーワード | DHSリアクター / レアメタル / マンガン酸化物 / 微生物間共生 |
研究概要 |
本年度は、平成24年度に製作したDHS(Down-flow Hanging Sponge)リアクターを元にマンガン酸化物を形成させる為の条件検討を主に行った。DHSリアクターは2機製作しており、1機はアンモニア酸化細菌共生型リアクターで、もう1機はメタン酸細菌共生型リアクターである。アンモニア酸化細菌共生型リアクターでは、アンモニア酸化細菌によるアンモニアの硝化反応が進み人工海水中のpHが酸性側に変化したため、アンモニア濃度を半分にした。またpHについては海水組成に近づけるためpHを7から7.5に変更した。メタン酸化細菌共生型リアクターについても同様にアンモニア濃度の薄めpHを7.5に変更した。本リアクターに供給しているメタンについては、2%のメタンを約24時間で消費していたので、倍の濃度に変更し滞留時間を半分にした。その後、両リアクターとも100日以上運転し、スポンジ上に細菌の増殖が確認できたが、マンガン酸化物の形成はみられなかった。マンガンイオンの濃度が高いと微生物にとって阻害剤として働く可能性が考えられたため、マンガン濃度を低くした。その後、60日ほど運転したところでメタン酸化細菌共生型リアクターにて流出水のマンガンイオン濃度の減少が見られ、スポンジ部分にもマンガン酸化物様の黒色物質が形成された。アンモニア酸化細菌共生型リアクターではマンガンイオン濃度の減少は見られなかった。 条件検討の結果、メタン酸化細菌共生型リアクターでマンガン酸化物の形成が見られた事から、今後は黒色物質の同定やマンガン酸化物形成に関与する微生物種の特定を行う。また、本リアクターでのレアメタルの吸着能力についても評価を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、1) DHSリアクターによるマンガン酸化物の形成、2) レアメタルの吸着評価、3) マンガン酸化物形成に関与する微生物種の特定の3点である。1) に関しては流出水のマンガンイオンの減少からリアクターに形成している黒色物質はマンガン酸化物であると考えられる。本研究の基礎となるマンガン酸化物がリアクター内部で形成されているので2) と3) の評価や特定が行える。以上の事から順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度に本研究費で導入した吸光光度計を用いて流入、流出濃度を測定することにより、レアメタルの吸着能力の評価を行う。また、微生物種は16S rRNA遺伝子やマンガン酸化に関与する遺伝子をターゲットとした分子生物学的手法により特定を行う予定である。平成26年度は最終年度であるため、データをまとめ論文として投稿予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
国内学会発表を予定していたが、これについて見合わせた為、次年度使用額が生じた。 仕様計画としては、DHSリアクター関連の消耗品、人工海水用試薬及び反応物検出試薬や、DHSリアクターに生息している微生物やマンガン酸化を担っている微生物の特定のための遺伝子解析用試薬等の購入に充てる。
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