研究課題/領域番号 |
24561010
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
柏谷 悦章 京都大学, エネルギー科学研究科, 准教授 (10169435)
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キーワード | CO2排出削減 / CO2電解 / 固体電解質 / 電極構造 |
研究概要 |
世界の化石燃料の使用量は継続して上昇しており,それがどこまで続くのか計り知れないものがある.そのため,地球の大気中におけるCO2濃度は,産業革命から常に増加しており,近年の異常気象との関係が危惧されているところである.化石燃料の枯渇問題は近年シエールガス・オイルなどの発見により,先延ばしにされた観があるが,人類にとってCO2削減は継続して取り組むべき課題であると考える. 本研究ではジルコニア固体電解質(YSZ)を用いてCO2電解を行った.アノード側の反応は,O^2- → 1/2 O2(g) + 2e- (1),カソード側の反応は,CO2(g) +2e- =CO(g) + O2- (2) と考えられる.電解質のアノード側はO2ガス発生側でPt電極とした.カソード側は,CO2ガス分解側であり,Pt電極およびFe電極を用いてそれぞれCO2分解性能を比較した.H24年度は,実験装置の作成,基礎データの収集に努めた.カソード側にPt電極を用いた場合の結果は良好なもので,本実験装置でCO2の高温電解が比較的容易に進行する事を確認出来た.現在,Fe電極において,実験中である.Fe電極では鉄の酸化反応が進行しすぎて,発熱し固体電解質が割れるトラブルが相次いだ.H25年度は,Fe電極の反応解析に先立ち,Pt電極の構造変化を,EF-SEMを用いて明らかにした.その結果,Pt電極の構造そのものが電解中に変化することがわかった.この現象は,Fe電極の場合に,どのように作用するのか興味のあるところである.H26年度は,同様の手法を用いてFe電極の構造変化を明らかにするとともに,Fe電極の場合の最適電解条件を求める予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
電解とガス分析を合わせた実験システムは,順調に動作するようになった.ガス漏れが起こらないように配管系をタイトなものに変更し,これから実験回数を増やしていく予定である.ガス分析計QMS(四重極質量分析計)も2台で,アノード,カソード両ガスを同時に分析出来るようになり,現象を的確に把握出来るようになった.
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は,鉄電極に対して酸素分圧の影響を明らかにする.つまり,鉄の再酸化は,Fe→FetO→Fe3O4→Fe2O3と進行する.これらの反応は,気相中の酸素分圧に大きく依存し,CO2分圧1のときは,Fe3O4まで進行し,CO-CO2雰囲気の場合は,その分圧によって,Fe3O4-FetO-Feと変化する.これらの状態と電解効率の影響がどのように変化するかを明らかにする予定である.
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