低温創製バイオマス炭のタンパク質熱安定化因子を抽出し、さらに低温創製バイオマス炭のタンパク質熱安定化作用のメカニズムを解明する目的で、低温創製竹炭に吸着される卵白リゾチームの立体構造の赤外吸収スペクトル測定と円二色性スペクトル測定を行い、残存活性に対するタンパク質の立体構造の効果を検討した。その結果、吸着条件は吸着されたリゾチームの立体構造に強く影響を与えることを見出した。また、吸着されたリゾチームの立体構造が天然構造に近いほど、より高い熱安定化能を発揮することができることが判明した。さらに、吸着されたリゾチームの立体構造が同様の場合、リゾチームと竹炭表面の電荷に起因した静電相互作用が大きいほど熱安定化に優れていた。 次に、低温創製バイオマス炭のタンパク質熱安定化作用の一般的特性を明らかにするために、モデルタンパク質としてα-キモトリプシンを用いて、低温創製バイオマス炭吸着α-キモトリプシンの熱変性曲線と熱失活曲線を調査した。その結果、低温創製バイオマス炭にα-キモトリプシンを吸着させることにより優れた熱安定化能が得られることを見出した。また、リゾチームの場合と同様にα-キモトリプシンにおいても吸着条件を調整することにより熱安定化能を向上させることができることが判明した。さらに、低温創製バイオマス炭への吸着はα-キモトリプシンに有機溶媒耐性を賦与することができることを見出した。
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