研究課題/領域番号 |
24561015
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
林 順一 関西大学, 環境都市工学部, 教授 (60247898)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | バイオマス / 炭化 |
研究概要 |
バイオマスの転換方法に炭化がある。炭化によって得られた炭化物は燃料(エネルギー)としても吸着剤(マテリアル)としても利用できる。しかし,バイオマスの炭化挙動は種類によって大きく異なる。そこで,バイオマスを構成する主成分である,セルロース,ヘミセルロース,リグニン,ポリペプトンの分解する温度域とこれらの混合物である実際のバイオマスの重量減少挙動について比較を行った。 セルロース,ヘミセルロース,リグニン,ポリペプトンの重量減少挙動を測定した。その結果,セルロースは300~400℃の範囲で急激に重量減少を生じ,ヘミセルロースはより低温の200~350℃で大きく重量が減少した。リグニンは200~500℃の広い温度範囲で重量減少し,ポリペプトンは200~400℃で大きく重量が減少した。重量減少速度のピ-クは,セルロースが350℃付近,ヘミセルロースは300℃付近,リグニンは360℃付近,ポリペプトンは300℃付近であった。このように,バイオマスを構成する主な成分によって重量減少挙動に大きな差が見られた。実際の木質バイオマス(杉の木質部と樹皮)を比較しても重量減少挙動が異なっている。木質バイオマスはセルロースを多く含むが,リグニンも含むためセルロースよりも重量減少が見られる温度域が広く,重量減少速度が最大となる温度もセルロースの350℃よりも高温側にシフトしている。また,リグニンを多く含む樹皮の方が,重量減少の温度域,ピ-クが大きいことから,セルロースとリグニンの重量減少の挙動を反映していることがわかった。しかし,これらの構成比率を掛け合わせた重量減少挙動と実際の重量減少挙動には重量減少速度のピ-クの位置や大きさに差が見られた。このことから,ある程度,構成成分の重量減少挙動を反映しているがこれらの相互作用も生じていると考えられた。同様のことが食品廃棄物系バイオマスについても見られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では,示差熱によって重量減少が熱分解によるものか,揮発分との反応によるものかを区別することにしていたが,昇温速度が10℃/minでは速かったためか,その区別が十分できていない。また,活性化エネルギーの分布についてもアレニウスプロットにおける直線になる場合とならない場合があった。そのため,活性化エネルギーの分布曲線を確定するまでには至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
より遅い昇温速度を設定することにより,熱分解による重量減少か揮発分との相互作用によるものかを区別する。また,測定する昇温速度の条件を増やすことにより,より正確な活性化エネルギー分布曲線を求める。(現在,3つの異なる昇温速度で測定しているが,これを4つの異なる昇温速度で測定し,精度を上げる)また,当初の計画にあった熱分解過程でのガス分析を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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