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2013 年度 実施状況報告書

モデルバイオマスを用いたバイオマスの炭化挙動の解明

研究課題

研究課題/領域番号 24561015
研究機関関西大学

研究代表者

林 順一  関西大学, 環境都市工学部, 教授 (60247898)

キーワード炭化
研究概要

バイオマスの転換方法に炭化がある。炭化によって得られた炭化物は燃料(エネルギー)としても吸着剤(マテリアル)利用できる。しかし,この際のバイオマスの炭化挙動は種類によって大きく異なる。その炭化挙動に影響を及ぼす要因としてバイオマスに含まれる灰分(無機物)が考えられる。本年度は,炭化挙動に及ぼす灰分の影響について重量減少挙動,生成する揮発分の影響について検討した。
セルロースおよびセルロースに炭酸カリウムを添加した試料の炭化過程でのガス(水素,メタン,一酸化炭素,二酸化炭素)の生成挙動についてガスクロを用いて測定した。
セルロース単独の場合,400℃あたりから水素の生成は始まり,1000℃まで続いた。メタンの生成はほとんど見られなかった。一酸化炭素は800℃付近でごくわずかであるが見られた。二酸化炭素は200~300℃付近でごくわずかであるが見られた。これに対して,炭酸カリウムを添加した場合,水素は添加しない場合と同様に400℃を超えると生成し始めたが,その生成速度は500℃で4倍程度となった。それ以降も1000℃まで生成が続いた。メタンの生成は炭酸カリウムを添加しない場合には見られなかったが,添加すると400~500℃の温度域で見られた。一酸化炭素は700℃を超えると急激に増加し900℃で最大となりその生成速度は添加しない場合の15倍程度となった。二酸化炭素の生成は200℃付近で急激に増加し,その生成速度も添加しない場合の50倍程度となっていた。また,300℃以降も,その生成速度は低下するが,800℃付近まで続いた。このように炭酸カリウムの添加によってガスの生成挙動が大きく異なることが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

バイオマスの炭化挙動について重量減少挙動,その際のガス生成挙動についての知見が得られている。ただし,灰分の影響については,今回は我が国に多く存在する木質バイオマスを想定しているため,バイオマスとしてセルロース,灰分の成分としてカリウムについてのみ検討した。灰分の成分については,カリウムは多くのバイオマスに含まれているが,家畜糞尿では他にリン,カルシウムが多く含まれているためこれらの影響についても今後検討する必要があると考える。

今後の研究の推進方策

バイオマス炭化物としての利用として,調湿材が考えられる。本年度は灰分がバイオマス炭化物の水蒸気吸着挙動にどのように影響を及ぼすかについて検討する。検討する灰分として,木質バイオマスに多く含まれるカリウムだけでなく,家畜糞尿類に多く含まれてるリン,カルシウムについても検討を行う。検討方法として,水蒸気の吸着等温線を測定し,調湿範囲(例:相対湿度55%と90%の範囲)での,炭化物に対する吸着量と脱着量との差を測定する。この吸着量の差に及ぼす灰分の種類,含有量の影響について検討する。また,平衡吸着量のみでなく,平衡に達するまでの吸着量の経時変化から吸着速度を解析し,灰分の影響について検討を加える。さらに,繰りかえし吸脱着を行った場合の調湿能についても検討する。

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公開日: 2015-05-28  

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