研究課題/領域番号 |
24561021
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
田口 明 富山大学, 水素同位体科学研究センター, 講師 (40401799)
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キーワード | メソ多孔体 / トリチウム / 回収 / 濃縮 |
研究概要 |
トリチウム水から高効率でHTOを分離,濃縮する吸着材は,環境負荷の低減,トリチウムの再利用の観点からその実現が望まれている。これまで,カルボキシル基,スルホ基,アミノ基で修飾したSBA-15が,固-液トリチウム吸着において,未修飾SBA-15と同等のトリチウム吸着特性を有することを明らかにしている。 本年度は,初めにこれら有機修飾吸着材について,耐熱性を検討した。TD-DTA測定の結果,カルボキシル基,スルホ基,アミノ基で修飾したSBA-15はそれぞれ,350℃,250℃,300℃付近から,有機官能基の分解に伴う重量減少が観察された。続いて,D2Oを用い昇温過程における吸着水の脱着挙動をFT-IR測定から検討した。200℃で前処理した吸着材に,25℃で飽和水蒸気量に相当するD2Oを吸着した後,25,100,200℃でそれぞれ真空排気し,FT-IRスペクトルを測定した。未修飾SBAではD2O吸着により,Si-OH,Si-OD,及び水素結合性のOH,ODに帰属される吸収シグナルが観察された。これらの吸収シグナルは昇温排気温度が高くなるにつれて強度が減少した。これに対し,例えばカルボキシル基で修飾したSBA-15では,Si-OH,Si-ODに帰属されるシグナルは観察されず,水素結合性OH,及びODのシグナルのみが観察された。このうち,OD伸縮振動に帰属されるシグナル強度は昇温排気により大きく減少したが,OH伸縮振動のシグナル強度にはほとんど変化が見られなかった。このことからカルボニル基がD2O,あるいはHDOと相互作用しており,かつ,DがHと比較して容易に脱離することが伺える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
合成した有機修飾メソ多孔体について,個-液トリチウム吸着能を評価した。また,D2Oを用い,昇温過程における水素同位体の脱離挙動をFT-IR測定から検討し,カルボキシル基,スルホ基など,アニオン性有機官能基に重水素が存在することを確認できた。さらに,これら有機修飾した吸着材では未修飾試料と異なる水素同位体-吸着材相互作用が観察された。これらのことから,研究はおおむね順調に進展している。今後得られた吸着剤について,トリチウム脱着試験からその濃縮特性を評価することが重要である。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き有機官能基を導入したメソ多孔体の合成とそのHTO吸着特性の評価,及び吸着能の向上を検討する。当年度は,トリチウム水を用いて濃縮特性を評価する。ここでは,上で得られた吸着材にトリチウム水を含浸し,所定の昇温速度で脱着試験を行い,HTO脱着量から,脱着挙動を調査する。さらに吸着材の重量減少を基に,脱着したHTO濃度を算出し,その濃縮係数を算出する。また,吸脱着試験を複数回繰り返し,吸着材の耐久性を評価する。また,最も濃縮特性の高い有機官能基について,細孔径の異なる吸着材を合成し,トリチウム濃縮における細孔径の効果を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度はトリチウム脱着装置の作成準備のため,温度調節器(600千円),電気炉(200千円),石英製反応管(200千円)等を購入した。また,2件の国際会議に出席した。 平成26年度は,試料前処理用の恒温乾燥機(200千円)の新規購入を予定しているほか,試薬・ガラス器具類(180千円)の購入,学会等の旅費(200千円)を計画している。
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