研究課題/領域番号 |
24561024
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
今井 誠 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60263117)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | プラズマ計測 / 中性粒子入射 / 電離断面積 / 電荷変換断面積 / 国際情報交換 IAEA |
研究概要 |
本研究では、日本原子力研究開発機構原子力科学研究所のタンデム型加速器より得られるタングステンイオンビームと水素原子ビームを交差衝突させた際の反応を精密測定する。平成24年度には、同機構タンデム加速器では初めての経験となるタングステンイオンビーム加速を実際に行うことと、水素原子ビーム源の調達を実施した。 水素原子ビーム源調達に関しては、助成金交付内定時において最新式の水素原子ビーム源につき改めて調査した結果、交付申請書記載のVeeco社製品より性能的に優れているMBEコンポーネンテン社製水素クラッカー源HABS40型が調達可能であることが判明した。本水素クラッカー源は、小径長軸高温チューブの採用により収束性の高い水素原子ビームを発生する。水素原子ビーム源は大型の汎用真空槽に装着して使用するため、水素ビーム収束性は入射ビームと交差衝突する際の信号強度を大きく左右する重要な指標であり、本研究を着実に進行するため、水素原子源をMBEコンポーネンテン社製水素クラッカー源HABS40型に変更して調達することとし、平成25年2月に納入された。 水素原子源調達と並行し、日本原子力研究開発機構原子力科学研究所のタンデム型加速器において、エネルギー 1.0 MeV/u (184 MeV) のタングステン+13価ビームを発生し、炭素薄膜を透過させることで、本研究に必要な+30価前後の 1 MeV/u タングステンイオンビームを実際に得た。このビームを磁場型エネルギー分析器にて分離・検出し、水素原子ビーム標的と交差衝突した後のタングステンイオンビーム電荷を実際に測定可能であることを確認した。 これらにより平成25年度以降、実際にタングステンイオンビームと水素原子ビーム標的を交差衝突させ、衝突断面積測定が可能となる状況を実現した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、日本原子力研究開発機構タンデム加速器において、これまで実績のないタングステンイオンビームを安定的にビーム加速することと、水素原子ビーム源の設置が必要となる。同機構タンデム加速器では、平成24年度中にすべての実験を中断して大規模な耐震改修工事が行われたが、残る実験可能期間中に、本研究にて必要とされるエネルギー、価数、ビーム強度を持ったタングステンイオンビームの加速を実際に行った。 並行して水素原子ビーム源の調達を行った。同製品は注文生産で発注から納品までに時間を要したが、タンデム加速器が耐震改修工事を終え実験が再開される平成25年度に実際に交差衝突による実験測定を実施することを可能とした。
|
今後の研究の推進方策 |
日本原子力研究開発機構原子力科学研究所タンデム加速器において、1.0 MeV/u (184 MeV) タングステンイオンビームと水素原子ビームを交差衝突させ、衝突後のタングステンイオンの価数分布を計測することによりタングステンイオンの電子損失断面積を測定し、逆過程である 1.0 MeV/u 水素原子によるタングステンイオン電離断面積を求める。
|
次年度の研究費の使用計画 |
本研究を遂行するために必要となる真空機器構成部品、高純度水素標的ガスなどの消耗品購入のほか、研究成果発表に必要となる旅費として使用する。
|