研究課題
核融合炉開発において,炉内で炭素ダストが生成されることによって,トリチウム蓄積,核融合プラズマの冷却,トカマク・プラズマの電流遮断など様々な問題を引き起こす可能性が指摘されており,炉内炭素ダスト制御は経済性,安全性の面から解決すべき最重要課題の1つとなっている.しかしながら,炭素ダストが,どのような生成過程を経て数nm~数100μmサイズに成長するのか,その詳細な生成過程は明らかにされていない.本研究では,炭素ダスト生成過程解明のため第一段階として,小型ダスト生成装置を設計・制作し,炭素ダスト生成実験を行った.炭素ダスト生成実験によって,μmサイズの球形の炭素ダストを生成することに成功した.生成された炭素ダストの形状は,殆どが球形であった.また,水素プラズマの放電時間が長いほど,炭素ダストのサイズが大きい結果となった.また,電子顕微鏡を用いて,炭素ダストの断面を観察し,本実験で生成された炭素ダストは,小さい粒子が成長の核となるカラムーナ成長と呼ばれる過程で成長している可能性が高いことを示した.さらに,詳細に炭素ダストの成長過程を追及するために,赤外線吸収分光実験を実施した.得られた吸収スペクトルは,ノイズを多く含んでおり,定量的な議論は困難であったが,赤外線吸収分光実験結果からも,本実験で生成された炭素ダストがカラムーナ成長していることが示唆される.特に,炭素ダスト成長の初期段階において,本研究で採用した赤外線吸収分光法が有用であると考える.
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件)
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