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2013 年度 実施状況報告書

中性子バックライト手法を用いた慣性核融合爆縮コア計測の可能性の探求

研究課題

研究課題/領域番号 24561028
研究機関核融合科学研究所

研究代表者

尾崎 哲  核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 准教授 (50183033)

研究分担者 有川 安信  大阪大学, レーザーエネルギー学研究センタ, 講師 (90624255)
キーワードγn中性子 / X線 / 高速電子 / バブル検出器 / イメージングプレート / 金ターゲット / 電子分析器 / S/N
研究概要

LFEXレーザーをターゲットに照射して発生する中性子の空間分布の観測を行った。また発生の源である電子のスペクトルの計測を並行して行った。この中性子を計測に用いる場合の最大の問題は同時に発生するX線である。今回イメージングプレートをチャンバーの各場所に張り付けてX線の空間分布を観測した。その結果、高Zの強度は金ターゲットでは前方方向に偏っているのに対して、ダイヤモンド様炭素ではX線の強度は弱く角度広がりを持つことがわかった。ただ中性子発生量はエネルギー依存性はあるもののX線量に対して正の相関を持つので、S/N比を勘案しながら最適のターゲットを模索していく必要がある。角度分布に関しては中性子は概ね全立体角に広がっているのでことを実験的に確認できており、LFEXの入射側に中性子検出器を配置することでX線ノイズを低減できイメージングが可能であることが明らかになった。ターゲットからの高速中性子をバブル検出器で測定し画像計測に耐えうる粒子数を観測できた。γn中性子はターゲットからだけではなくチャンバーからも発生する。主な発生源はLFEX対向側の電子分析器である。強力なX線および高速電子がここに照射されて発生する新たなX線とのγnにより中性子が発生すると考えられる。今後、この部分を低Z物質に交換してX線の発生ならびに中性子のをターゲット部分に局在化させS/Nの改善を行う。高速中性子に対して高い感度があるがX線に対する感度がほとんどないバブル検出器の利用の検討も進めている。バブル検出器は試験管に封入されているため、画像が行いにくい。平板状のバブル検出器が可能かどうか検討している。また中性子用イメージングプレートも市販されているが、こちらは熱中性子用であるため高速中性子に適用するためには熱化する必要がある。これによる低下した空間分解能とバブル検出器の空間分解能を比較している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

LFEXレーザー稼働は当初より大幅に遅れ稼働時間もかなり限られている。また激光12号のコンデンサーバンクの破損、交換によりさらに実験時間が削られている。当初、γn中性子はターゲット付近からだけ発生していると考えられていたがチャンバーからの発生がターゲットからのそれを上回っている。このような環境の中で一つずつ問題点を明らかにし解決への指針を得ることができたため、現時点では順調に進んでいると評価したい
(1) 稼働時間は限られているが、研究協力者等の協力で必要なデータを入手できた。(2) チャンバーからの発生源が特定でき、それをカバーすることで大幅なS/Nの改善が期待できること。(3) 高速中性子の画像計測に関して進展が見られたこと。(4)電子スペクトロメーターの改良により低エネルギーの高速電子のスペクトルが明らかになり、ターゲットでの高速電子の発生機構の詳細が明らかになったこと。(5)先行するLFEXを用いたプロトン画像計測、X線計測が成功したこと、である
以上により、高速中性子をバックライト光源として用いる可能性について十分な感触をつかむことができた。

今後の研究の推進方策

(1) 測定対象となる激光12号による爆縮コアの密度は、以前の1000倍からは低下して高くても100倍以下である。従って、中性子画像を得るには力不足であるが方式を確立するということに力点を置く
(2) X線ノイズの様相が明らかになったので、高速中性子画像検出器に関して候補を絞っていく
(3) 第一の候補は平面状のバブル検出器である。平面上のものが得られない場合には、市販のものを近接させて利用する
(4) 第2の候補はγ線不感のIPである。ただし高速中性用でないので減速材が必要でそれによる空間分解能の低減を評価する
(5) 以上を勘案して実機を設計製作する

次年度の研究費の使用計画

当初購入を予定したイメージングプレートの納入が遅れたため
予定通り購入する

  • 研究成果

    (18件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (15件)

  • [雑誌論文] Hot electron spectra in hole-cone shell targets and a new2014

    • 著者名/発表者名
      T. Ozaki et al.,
    • 雑誌名

      Physica Scripta

      巻: T161 ページ: 014025 1-4

    • DOI

      http://iopscience.iop.org/1402-4896/2014/T161/014025/

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Hot Electron Spectra in Plain, Cone and Integrated Targets for FIREX-I using Electron Spectrometer2013

    • 著者名/発表者名
      T. Ozaki et al.,
    • 雑誌名

      Plasma and Fusion Research

      巻: 8 ページ: 2404125

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Multichannel down-scattered neutron detector for areal density measurement2013

    • 著者名/発表者名
      Y. Arikawa et al.,
    • 雑誌名

      European Physical Journal Web of Conferene

      巻: 59 ページ: 13011

    • 査読あり
  • [学会発表] 高速点火実験における高速電子およびイオンスペクトル計測2014

    • 著者名/発表者名
      尾﨑 哲 他
    • 学会等名
      物理学会春
    • 発表場所
      東海大学
    • 年月日
      20140327-20140330
  • [学会発表] 高速点火における実効電子温度のターゲット依存性と新しいターゲット提案2013

    • 著者名/発表者名
      尾﨑 哲 他
    • 学会等名
      プラズマ核融合学会
    • 発表場所
      東京工大
    • 年月日
      20131203-20131206
  • [学会発表] Estimation of ion temperature increase based on experimental hot electron spectra in fast ignition2013

    • 著者名/発表者名
      T. Ozaki et al.
    • 学会等名
      ITC23
    • 発表場所
      Toki
    • 年月日
      20131118-20131121
  • [学会発表] Hot electron spectra on advanced targets in FIREX2013

    • 著者名/発表者名
      T. Ozaki et al.
    • 学会等名
      IFSA2013
    • 発表場所
      Nara
    • 年月日
      20130909-20130913
  • [学会発表] The diagnostics of the energy coupling efficiency in the fast ignition integrated experiment2013

    • 著者名/発表者名
      Yasunobu Arikawa et al.,
    • 学会等名
      IFSA 2013
    • 発表場所
      Nara
    • 年月日
      20130909-20130913
  • [学会発表] Hot Electron Spectra in hole-cone-shell targets and a new proposal of the target for fast ignition in laser fusion2013

    • 著者名/発表者名
      T. Ozaki et al.
    • 学会等名
      Plasma2013
    • 発表場所
      Warsaw
    • 年月日
      20130902-20130906
  • [学会発表] FIREXにおける高速電子の挙動の解明2013

    • 著者名/発表者名
      尾﨑 哲 他
    • 学会等名
      レーザー研シンポジウム
    • 発表場所
      大阪大学
    • 年月日
      20130508-20130509
  • [学会発表] The advanced neutron diagnostics in the fast ignition experiment by using GEKKO XII and LFEX

    • 著者名/発表者名
      Yasunobu Arikawa et al.,
    • 学会等名
      Laser and Anccelerator LANSA’13
    • 発表場所
      Yokohama
  • [学会発表] Laser driven neutron generation and applications

    • 著者名/発表者名
      Yasunobu Arikawa et al.,
    • 学会等名
      UCANS-IV
    • 発表場所
      Hokkaido University Japan
  • [学会発表] The diagnostics of the energy coupling efficiency in the fast ignition

    • 著者名/発表者名
      Yasunobu Arikawa et al.,
    • 学会等名
      Workshop on Fast and Alternative Ignition Schemes 2013
    • 発表場所
      和歌山
  • [学会発表] 散乱中性子計測法による高密度爆縮実験

    • 著者名/発表者名
      有川安信他
    • 学会等名
      日本物理学会
    • 発表場所
      徳島
  • [学会発表] 高速点火核融合実験における加熱効率の評価

    • 著者名/発表者名
      有川安信他
    • 学会等名
      プラズマ核融合学会
    • 発表場所
      東工大
  • [学会発表] Study on the energy coupling efficiency

    • 著者名/発表者名
      有川安信他
    • 学会等名
      NIFS一般共同研究「磁場閉じ込め及び慣性閉じ込め核融合実験における核燃焼実証のためのプラズマ診断」
    • 発表場所
      大阪大学
  • [学会発表] 高速点火核融合実験における加熱効率スケーリング評価

    • 著者名/発表者名
      有川安信他
    • 学会等名
      物理学会
    • 発表場所
      東海大学
  • [学会発表] 高速点火における高速電子計測

    • 著者名/発表者名
      尾﨑 哲 他
    • 学会等名
      NIFS一般共同研究「磁場閉じ込め及び慣性閉じ込め核融合実験における核燃焼実証のためのプラズマ診断」
    • 発表場所
      大阪大学

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公開日: 2015-05-28  

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