研究課題/領域番号 |
24561028
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研究機関 | 核融合科学研究所 |
研究代表者 |
尾崎 哲 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 准教授 (50183033)
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研究分担者 |
有川 安信 大阪大学, レーザーエネルギー学研究センタ, 講師 (90624255)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 中性子 / プレパルス / LFEX / 電子エネルギー分析器 / 激光XII / 電子スペクトル / 実効電子温度 / シミュレーション |
研究実績の概要 |
今年度は、11月から翌年3月まで大強度レーザーLFEXを用いた実験が行われた。昨年度までの実験ではレーザーのプレパルスが想定以上に大きくその結果、高速電子が高温化しガンマ線を多数放出した。その結果ガンマ中性子が多数発生し、この中性子を用いた実験が画策された。しかしながらこれはLFEX本来の目的である高速点火には相応しくないためプレパルスの除去が積極的に図られた。その結果プレプラズマの発生が抑制され、高速電子の低速化に成功した。しかしながらこれは、γn中性子を発生する立場からは逆効果である。LFEX全体の研究計画から大きくはずれた実験を行うのは難しいので、少し視点を変えてLFEXの性能が向上(=プレパルスが小さい)した環境下で中性子バックライトを試みる方向に転換することを考える。このような高強度レーザーで中性子を多量に出す方法を電子エネルギー分析器の実験結果と計算機シミュレーションを比較することによって模索した。電子エネルギー分析器を2台設置して電子のスペクトルを測定したところ極めて興味深い結果が得られた。実効電子温度つまり電子のエネルギーが低い程電子の空間広がりは平坦になるのである。これを平板ターゲットにおけるシミュレーションと比較する。発生した高速電子は表面付近で自己磁場によりターゲットに侵入できず周回していることが分かった。この傾向はエネルギーが低い程大きい。つまり電子電流が大きいので自己磁場が大きいためである。このことは実効電子温度を下げると通常のターゲットでは加熱しにくいことを示している。そこで、球殻の内面に照射することを試すことにした。これなら表面を周回してもターゲットを十分加熱できるはずである。予備実験を激光XIIで行ったところ10^7の中性子が容易に観測できた。今後はLFEXにこれを適用して十分は中性子発生源として用いることができると期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前項で述べた通り、今年度は、11月から翌年3月まで大強度レーザーLFEXを用いた実験が行われたが、プレパルスが多かった昨年度までの実験とは異なりではプレパルスの除去が積極的に図られた。その結果プレプラズマの発生が抑制され、本来のLFEXの目的である高速電子の低速化に成功した。しかしながらこれは、γn中性子を発生する立場からは逆効果である。以上の経過が本研究の遅延の主たる原因である。これを克服するため少し視点を変えてLFEXの性能が向上(=プレパルスが小さい)した環境下で中性子バックライトを試みる方向に転換した。現在、電子エネルギー分析器の高性能化と計算機シミュレーションを精力的に行っており、これに基づいて大量の中性子を得られるターゲットの設計に取り掛かっている。幸いにして予備実験を激光XIIで行うことができ、比較的容易に10^7を観測できた。今後はLFEXにこれを適用して十分は中性子発生源として用いる。
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今後の研究の推進方策 |
前2項で述べたように、昨年度までの実験ではレーザーのプレパルスが想定以上に大きくその結果、高速電子が高温化しガンマ線を多数放出した。その結果ガンマ中性子が多数発生し、この中性子を用いた実験が画策された。しかしながらこれはLFEX本来の目的である高速点火には相応しくないためプレパルスの除去が積極的に図られた。その結果プレプラズマの発生が抑制され、高速電子の低速化に成功した。しかしながらこれは、γn中性子を発生する立場からは逆効果である。LFEX全体の研究計画の中で本研究を遂行するには中性子発生手法を少し変えることにする。LFEXの性能が向上(=プレパルスが小さい)したのでターゲットを工夫すればDD中性子源として期待できる。これまでの研究では電子エネルギー分析器による高速電子の計測を行ってきた。このような高強度レーザーで中性子を多量に出す方法を電子エネルギー分析器の実験結果と計算機シミュレーションを比較することによって模索する。 (1)電子エネルギー分析器を2台設置して電子のスペクトルを測定し、ターゲット上の高速電子の輸送を理解する。(2)得られた結果をPICコードを用いたシミュレーション結果と比較する。このためにシミュレーション環境を整備する。(3)現在までの知見では中性子を効率よく発生させるには、高速電子をターゲット付近で繰り返し衝突させることである。(4)この機構を実験的に理解する。ただしLFEXのマシンタイムには制約があるので予備実験を激光XIIで行う。(5)LFEXを用いて球殻の内面に照射するターゲットを用い実証する 以上の方針のもとに研究を遂行していく
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次年度使用額が生じた理由 |
中性子発生手法に変更が生じ、予算を次年度に回した方が効率が良いため
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次年度使用額の使用計画 |
計算機を使用するための関連支出に重点的にあてがう
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